関西ではとても有名な兵庫県の六甲山。登山デビューの前は、六甲山といえば「牧場」「アスレチック」「夜景デート」でした。私の話ですが、初めての登山は六甲山。足に病気の後遺症があるため、リハビリと血流を良くするために登山を始めました。 登れるだろうかと終始心配でしたが、自分の足で登頂できた時、山頂下のトイレでひっそりと嬉し涙を流したことを思い出します。そのような思い入れがある六甲山、いつでも歩けるのが魅力ですが、冬にこそ歩いていただきたい理由があります。ぜひ行ってみてください。
冬の六甲山を私がおすすめする理由
言わずと知れた近代登山の発祥の山である六甲山。標高931mなので、12月〜3月頃までは天候により山道が凍っていたり、雪が降り積もる日もあります。軽アイゼンまたはチェーンスパイク、そしてダウンジャケットなど保温性の高い上着を予備で持っておくと安心です。どうしても雪がない時期に歩きたいなら上記以外の4月〜11月が良いですが、冬だからおすすめしたいポイントがたくさんあります。
・冬は人が少ない
人気のある六甲山なので想像できると思いますが、春~秋の週末はハイカーでいっぱいです。それが冬場はぐっと減るので、混雑することがありません。静かにゆっくり歩きたいなら、冬です。
・澄み渡る空気と抜群の展望
なんといっても空気が澄んでいるので、神戸市街地と瀬戸内海の景色が一年の中で最も綺麗に一望できます。人も少ないので写真がゆっくり撮れるというメリットもあります。
・冬こそ温泉がありがたい!
六甲山の裏には日本の名湯・有馬温泉があります。冬といえば温泉です!コースの最後に温泉と合わせて楽しみが倍増します。夏に温泉よりも、冬の方が温泉のありがたみも増して身に染みます。
・冬のトレーニングに最適
また、私はいつかアルプスでテント泊をしたいという夢をもっていたので、トレーニングでよく歩きました。冬場は体が固くなるシーズンだからこそ、たくさん歩きたいもの。寒い時こそ歩荷トレーニングに最適の時期です。(歩荷トレーニングとは:重い荷物を背負って歩くトレーニング。体力もつきます)そして実はアルプスのようなゴツゴツした道も所々にあり、足場の練習にもなるのです。その甲斐あってか、アルプスで無理なくテント泊縦走ができるようになりました。
ちなみに、冬だからという理由ではありませんが、そもそも六甲山が人気である理由としては、以下のようなポイントがあります。
・アクセスが抜群にいい
六甲山には、バスやケーブルカーで登山口まで行くものと思っている人も多いかもしれません。登山なら実は「阪急芦屋川駅」から歩き始めることができるのです。私のイチオシコースです。
・バリエーション豊富
初心者からベテランまで楽しめる、起伏に富んだバリエーション豊かなコースがたくさんあり、登山者を飽きさせません。ケーブルカーなどを使って簡単なハイキング程度のコースも組めるので、本格的な登山はしないという友達でも誘いやすく一緒に楽しめます。
・歴史を感じるロマンがある
徳川時代、海岸でとれた新鮮な魚を魚屋が、北側の有馬温泉まで越えて通った道として知られる「魚屋道(ととやみち)」や、豊臣秀吉がこよなく愛したことで有名な名湯「有馬温泉」が六甲山裏のふもとにあり、昔のロマンを感じます。
六甲山おすすめコース1:これぞ王道の「六甲山縦断コース」
コースタイム:約4時間30分 距離:約12.1キロ
<登山レベル> 体力度│★★ 技術度│★
阪急芦屋川駅~高座ノ滝~雨吹岩~雨ケ峠~一軒茶屋~六甲山~有馬温泉
六甲山の魅力が詰まったコースなので、初めて登るならまずはこのコースをぜひ歩いて欲しいです。賑やかで楽しい表のルートから六甲最高峰を登り、下りは北側の裏ルートをしっとりと歩き、最後は有馬温泉街へ降りていきます。
六甲山おすすめコース2:裏六甲をめぐる「滝周回コース」
<登山レベル> 体力度│★★ 技術度│★★
コースタイム:約5時間 距離:約10.5キロ
神戸電鉄有馬温泉駅~七曲滝~百閒滝~似位滝~白石滝~白竜滝~六甲山~一軒茶屋~有馬温泉
六甲の裏側を周回する穴場ルートです。例年1月〜2月頃に氷瀑が見られることで有名ですが、暖冬だったり、うまく条件が揃わないと見られません。けれども圧巻の成長した氷瀑が見ることができる年もあるので、冬の時期は目が離せません。また冬以外でも滝巡りは涼めて、マイナスイオンもたっぷりなのでおすすめです。六甲山頂まで行かずに裏側だけを巡るのも良いです。
コースはまだまだたくさん!毎年11月には一日で56キロ歩く「六甲全山縦走大会」もあります。地図を片手にいろいろ歩いてみてください。
こちら六甲山ビジターセンターのマップもわかりやすくて参考になります。
下山後の楽しみ!有馬温泉でほっこり街歩き
六甲山と有馬温泉はセットです。私は温泉も大好きなので、この楽しみは外せません。有馬温泉は日本三古泉のひとつで、赤褐色の「金泉」と無色透明の「銀泉」の二種類があり、特に金泉は珍しいので人気があります。人気の日帰り温泉「金の湯」は土日はとても混雑するので、混雑を避けて手軽に入れる穴場の温泉と、温泉街の立ち寄りスポットをお教えます。
日帰り温泉ならここへ!穴場3選
「湯屋の宿 康貴(こうき)」(神戸市北区有馬町1401)
2018年にリニューアルオープンした温泉宿です。金泉と銀泉の両方が楽しめます。小ぢんまりとしているので、少人数で訪れるにはぴったり。大浴場とは違って特別感を感じます。
「有馬御苑」(神戸市北区有馬町351)
こちらも二種類の温泉が楽しめる温泉宿。日帰りでも食事付きや部屋貸しなどプランがいろいろあります。
「銀の湯」(神戸市北区有馬町1039-1)
市営の日帰り温泉。銀泉のみですが広く、さほど大混雑していないのでゆっくりと浸かることができます。一度金泉を体験されていたら、次は銀泉の湯がおすすめ。炭酸泉とラジウム泉でお肌がツルツルになります。温泉上がりはすぐ向かい側にモンベルショップが入っているスイス風ロッジ「ホテルモルゲンロート」があり、こちらのレストラン「グリル六甲」の六甲カレーやハイカーセットで一杯飲むのがおすすめです。
ゆっくり温泉に入るほどの時間がなければ、「金泉の湯」前に足湯があるので、こちらで足の疲れを取るだけでも違います。
私が選んだおすすめ立ち寄りショップ3選
「湯の花本舗 炭酸煎餅」(神戸市北区有馬町1520-1)
有馬温泉のお土産といえば炭酸煎餅ですが、こちらのショップでは”賞味期限5秒”の炭酸煎餅がいただけます。出来立てほやほやの煎餅を瞬時に食べないと通常の固さになってしまうので、時間との勝負!是非チャレンジしてみてください。
「竹中肉店」(神戸市北区有馬町813)
神戸牛を扱っている専門肉店で、店先に販売しているで出来立て熱々コロッケやメンチカツが絶品です。食べ歩きで頬張ったり、お土産にぜひ。疲れて帰ってもこれがあれば夜ごはんを作らなくても済みます!しかも帰ってからのお楽しみにもなります。
「アリマ・ジェラテリア」(神戸市北区有馬町1163)
常時18種類の手作りフレーバージェラードをいただけます。濃厚な六甲の酪農牛乳を使い、季節の果物や野菜をふんだんに使ったこだわりのジェラードは本当に美味しいです。炭酸せんべいサンドもあります。温泉上がりのぽかぽかの体に冬アイス、最高です。
まとめ
冬の澄み切った空気の中、六甲山を歩き、下山後は温泉。温泉街はなぜか冬が似合います。冬の六甲山は雪も積もることもありますが、本格的な雪山にはならないので、チェーンスパイクや軽アイゼンでの体験デビューにもぴったり。もちろん冬のみならず、春の山桜、山ツヅジ、初夏の新緑、秋の紅葉も抜群に綺麗です。多くの登山者を魅了する六甲山、冬に歩いたあとも季節を変えて何度でも歩いてみてください。