意外と知らない?山岳部とワンダーフォーゲル部の違いとは

ちょっと休憩

山岳部とワンダーフォーゲル部、どちらも登山をするクラブですが、なぜ別々に活動しているのか、具体的にどこが違うのか、気になりませんか。学校によって活動内容はかなり異なるのですが、ここでは一例として、学生時代にワンダーフォーゲル部に所属していた筆者の体験をもとに、両者の違いを解説します。

私がワンダーフォーゲル部を選んだ理由

大学
出典:写真AC

新入生のころ、漠然と何かしてみたいなぁと思っていたところにワンダーフォーゲル部の勧誘を受けたのが入部のきっかけです。まるで日本とは思えない美しい山々の写真を見せてもらい、こんなところに行ってみたい!今しかできないことはこれだ! とその日のうちに入部を決めました。

山に登るのは山岳部も同様なのですが、山岳部は人数も少なく新入生の頃は女子部員もゼロ。一方、女子の先輩もたくさんいて、同じ登山系のクラブでもより華やかに見えたワンダーフォーゲル部に魅力を感じ入部しました。

他の部員の中には山岳部と迷って最終的にワンダーフォーゲル部に入部した部員や、逆に山岳部に入部した部員もいます。ただいずれにしても、両部とも活動内容のしんどさや、学業やアルバイトと部活との両立に悩み、途中で退部していく部員も少なくありません。部員の少ない山岳部がワンダーフォーゲル部の部員を引き抜こうとすることも多々ありました。

山岳部もワンダーフォーゲル部も主な活動は「山に登ること」

私が所属していた大学では部室が隣同士だったこともあり、普段から部室を行き来したり、たまにトレーニングを一緒にしたりと交流がありました。同じ体育会系部活として山に登っているので話も合い、最近の山行の話をしたり、クライミングを教えてもらったりと、仲はとても良かったと思います。

日本スポーツ振興センターが管轄する国立登山研修所が行う登山研修会へ一緒に参加もしていました。 同様に全国の大学から集まった山岳部、ワンダーフォーゲル部や探検部が同じ研修を受けていました。

ワンダーフォーゲル部を登山サークルと同じイメージで考えている方も多いのですが、山岳部と同じれっきとした体育会系の部なので、練習も毎日しっかりとありますし、楽しむことが目的のサークルとはまた異なります。

山岳部とワンダーフォーゲル部の違いを聞かれた場合

当時からよく「山岳部とワンダーフォーゲル部ってどう違うの?」とよく聞かれていました。当事者でない世間一般の人からすると、「山岳部=ロッククライミングで危険な登山をしている」「ワンダーフォーゲル部=ハイキング的なのんびりとした登山をしている」というイメージを持たれているのではないでしょうか。

ひとことで伝えるのが難しいので、そのイメージを利用して「岩登りをするかしないかの違いかなぁ」とざっくりと答えていましたが、心の中では「ワンゲル部もクライミングもするけどなぁ」と思っていました。 大学によって活動の幅は様々で、実際のところ制限や規定はなく、厳密に区別されているわけではないのです。

ただ、理念の違いとしては

・登頂を目的とせずより幅広く自然活動をおこなうのがワンダーフォーゲル部

・ルートを攻略し登頂することを主な目的としてより困難な登山に挑戦するのが山岳部

というのはあると思います。 その理念の下で各学校ごとに活動の幅が異なる、というのが最も実情に近い答えです。

例えば活動としては以下のようなものがあり、部によってやる、やらないは本当にバラバラです。大きなくくりでいくと、山岳部は「一般登山道はあまり使わずアルパインクライミングと雪山登山で年中登る」、ワンダーフォーゲル部は「夏山の一般登山道縦走はするけど雪山登山はしないで他の活動をする」という部が多いのではないかと思います。

  • 夏山縦走(一般登山道/バリエーションルート)
  • 雪山登山
  • アルパインクライミング
  • フリークライミング
  • 沢登り
  • バックカントリースキー
  • サイクリング
  • キャンプ

山岳部の活動一例

私の大学の山岳部は部員数が少なく、当時は女子部員が1人と男子部員も3人程でした。一般的には男女それぞれで活動するのですが、女子が1人だけだったので男女一緒に活動をしていました。

また部員数が少ないこともあってか、個々が自由にやりたい活動をしていたのも特徴かと思います。国内の難関ルートやヒマラヤの未踏峰へ挑戦したりする部員もいれば、ボルダリングやフリークライミングしかしない部員もいました。

山岳部といえば上下関係が厳しく集団行動が基本というイメージかもしれませんが、常に同じ山に登るわけではなく、レベルがバラバラなので、各自がそれぞれの限界を求めて挑戦していくと、自ずと別々の活動にならざるを得ない、というところもあると思います。

逆に、合宿は絶対に全員参加!で団体行動をしていたのがワンゲル部で、山岳部の自由さがとても羨ましかったのを覚えています。

ワンダーフォーゲル部の活動一例

ワンダーフォーゲルとはドイツ語で「渡り鳥」を意味する言葉です。渡り鳥のように自然の中を旅することがクラブ名の由来となっています。

所属していたワンダーフォーゲル部は、女子部員が10名以上、男子部員も15名ほどおり、基本的には男女別で活動、合宿は全員参加。夏山縦走と冬山での山岳スキー縦走を全員で踏破するというのが部としての全体目標でしたので、純粋な「登頂する登山」とは少し違うというのがわかると思います。山岳部がおこなうようなクライミング、沢登り、海外遠征などは、部員有志だけで企画するというものでした。

他には自転車で日本縦断をする部員がいたり、登山という枠にとらわれず幅広い活動をしていました。他の大学でも、ワンダーフォーゲル部は夏山中心で、冬は登山はしないという場合が多いようです。

日々の部活動ではどんなことをしている?

どちらの部についても、山に毎日行くわけではないし、普通の日は何をしているのだろうと思うのではないでしょうか。

普段の部活はトレーニングがメインとなります。主なトレーニングとしてランニング、学内の階段や裏山を使った歩荷トレーニング、トレーニングマシンを使った筋力トレーニングを行っていました。これは山岳部もワンダーフォーゲル部も同じです。 また、次の山行計画のミーティングや準備などにも時間を使います。

山岳部はこの他に、人工壁や近い岩場でクライミングのトレーニングをしていました。ワンダーフォーゲル部では山岳スキーも主な活動だったので、冬はゲレンデでのスキーもトレーニングのひとつでした。

読図できる?天気図かける?山岳部ワンゲル部トリビア

知らなくてもいいけど知っているとちょっと面白いかもしれない、山岳部とワンダーフォーゲル部についての雑学をご紹介します。

・ラジオの気象通報を聞いて天気図がかける

山岳部やワンダーフォーゲル部は古くからあるクラブが多いので、現代的なスマホで天気予報チェックではなく、ラジオから流れる「気象通報」を聴きながら天気図を作成します。山にいる間も気象通報の時間になると談笑をやめ、気象係が天気図を作成してそれをもとに明日の天気を予想するのです。

・国土地理院発行の25000分の1地形図は必携アイテム

同様に、スマホの地図アプリやGPSが現代の常識になりつつありますが、山岳部とワンダーフォーゲル部の部員は国土地理院が発行している「25000分の1地形図」を必ず持っていきます。新入生は上級生に教わりながら、まずは近郊の低山で読図の訓練をして鍛えていきます。コンパスと併せて使用し、等高線からどんな地形か、どれくらいの傾斜かを読み取り、大体のコースタイムも予想できるようになります。

・登山にも大会がある

全国高校総合体育大会(インターハイ)では登山競技があり、他のスポーツと同様に高校の山岳部やワンダーフォーゲル部でも「インターハイに出場」という目標が持てるのです。気になる種目は、読図、天気図作成、歩行技術、テント設営や炊事の正確さとスピード、登山でのマナー審査など多岐に渡り、体力だけではなくまさに登山の総合力が試されます。

全国の有名な山岳部・ワンダーフォーゲル部

今現在がどうか正確な状況はわかりませんが、有名どころとしては以下のような学校が挙げられます。

・明治大学山岳部

大学山岳部の中では最も有名で、伝統と実績があるクラブです。世界的な冒険家、植村直己氏が所属していたことでも知られています。こんな立派なホームページもあります。

【公式】Meiji University Alaine|明治大学体育会山岳部
明治大学体育会山岳部の公式ホームページです。日々の活動報告や部活紹介を行っております。

・信州大学山岳部

さすが日本アルプスのお膝元にある大学というのもあり、山岳部も精力的な活動と実績で知られています。登山界のアカデミー賞と呼ばれる、登山界で最も名誉のある賞とされる「ピオレドール」を受賞したOBも輩出しています。

信州大学山岳会トップ

・女子美術大学ワンダーフォーゲル部

女子大でワンダーフォーゲル部があるというのがまずとても珍しいのですが、女子美大ワンゲル部は活動も本格的なのが特徴です。女子部員だけで山岳スキーの活動もしています。

- JBWV活動記録
女子美術大学ワンダーフォーゲル部の山での活動と日常を記録していきます

・関西学院大学ワンダーフォーゲル部

共学ですが、こちらも女子部員だけでパーティを組み活動をおこなっている数少ないクラブのひとつです。夏山だけでなく山岳スキーもメインの活動のひとつで、ワンダーフォーゲル部としては沢登りやクライミングなど本格的な山岳部に近い活動をしているのが特徴。

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まとめ

個人的な経験をもとに山岳部とワンダーフォーゲル部の違いや活動について書きましたが、何度も言っているように、実際はそれぞれの学校でかなり活動内容は異なります。ワンダーフォーゲル部でもクライミングをするところもあれば、山岳部でものんびり一般登山道を縦走するところもあります。

ただ、どちらにも言えることですが、サークルではなく体育会系の部活として、活動内容のしんどさや地味さ、装備や旅費にお金がかかることなどから、近年は部員数が減少して存続の危機にある部も少なくありません。

私自身もワンダーフォーゲル部でしんどく辛い思いをたくさんしましたが、それを仲間と共に乗り越えた経験は人生の宝物となっていますし、登山は生涯の趣味として人生に寄り添ってくれています。きっと同じ部出身の方は同じ想いではないでしょうか。若い人にも山岳部やワンダーフォーゲル部の良さを少しでもわかってもらえたら、と願ってやみません。

この記事を書いたひと
やまねこ

関西地方在住の二児の母。学生時代より登山に親しみ、山スキー、沢登り、クライミングと多岐に活動。現在は幼児連れでも安全に楽しく登れる山を探し中。いつか子供たちと南アルプスを縦走するのが夢。

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