身近な山でもいつでも起こり得る登山初心者の失敗談

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本格的な登山をするわけではなく、山登りにわざわざ出かけるのは年1~2回。月1回くらい自宅の裏山を散歩する、そんな万年初心者だけど山が好きな私でも、ちょっとした失敗から山ですごく怖い思いをしたことがあります。原因はささいなことですが、いつでも誰にでも起こり得ることです。久しぶりの登山に出かける前の戒めとして読んでみてください。

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ペース配分ができずに失敗

当時の年齢:20代後半、旅の途中で知り合った大学生と一緒

季節と天候:7月終わり頃、くもりで山頂は霧

はじめて私が「登山」をしたときの経験です。その当時20代後半でしたので、体力もそれなりにありましたし、足腰も強く、何も不安などありませんでした。

登ったのは北海道の利尻岳。ご存じの方も多いと思いますが、深田久弥の「日本百名山」の1番に書かれている山です。ただ、実をいうと、日本百名山についてはずいぶんあとで知りました。 その頃、毎年夏に北海道をバイクで旅行していて、その年は道北を周る計画だったため、たまたま知った利尻岳に登ることにしたのです。

利尻岳
霧の中の利尻岳

利尻岳は日帰りできる山で、往復9時間くらいと下調べしていました。今なら9時間となるとちょっと厳しいなということがわかりますが、もちろん若い私たちにとってそんな不安はなく、朝6:00くらいに利尻北麓野営場を出発し、午後15:00には戻ってくるつもりで、勢いにまかせてグイグイ歩いていきました。

しかし順調に登っていたのですが、登り始めて約4時間、3回目の休憩をとるころには、かなり足も呼吸もつらくなっていました。徐々に立ち止まる回数や休憩時間が長くなっていき、さきほど軽く追い越してきたはずの、ほかの登山客にも追い抜かれるほど。完全にオーバーペースです。

登山経験のなかった私たちは、平地を歩く、あるいはハイキングコースを歩くくらいのペースで山を登ろうとしていました。富士山と同じようにずっと登りの続く利尻岳を、そんなスピードで歩き続けられるわけがないのです。

そこでベテラン登山者と思われる男性に声をかけられました。「ああ、やっぱりいましたね」と。「すごい勢いで歩いていたので、大丈夫かなぁと思っていたんですよ。」途中、ゆっくり歩いているほかの登山客をあっという間に追い越していったと、笑われました。

登山はマラソンと同じ。体力を温存し、休憩も含めたトータルの計画を立てる。ゆっくりと呼吸が激しくならないような登り方をする必要がある。普段の歩くペースでは登れない。これが、私の登山の最初の学びでした。

その後、この男性を師匠と仰ぎ、一緒に同じペースで歩いて12時半頃にようやく登頂できました。

下山後、同行した京大生I君、途中で知り合った師匠と、キャンプ場で夕食を一緒にとりながらその日の山登りのことを楽しく振り返りました。師匠は札幌在住のもの静かな初老の男性で、明日もまた登ると、にんまり笑顔。この出会いがあって山登りというものに興味を持ち、その後も山歩きを続けるきっかけとなったので、失敗もありながら得るものも大きかった経験だといえます。

飲み水が足りなくなり失敗

当時の年齢:20代後半、単独行動

季節と天候:10月初旬、晴れ

山へ行くときに頭を悩ませるのが飲み水です。いっぱいあれば安心だけど、荷物が重くなる。でも、夏場は汗をかくから、水分補給が必要になる。どのくらいが適量なんだろう。

利尻岳で痛い目にあった後、山歩きを少しずつ始めたころの話です。1,000mに満たないような山で、中高年のグループが多く、ちらほらと2~3人組の山ガールもいるような、気楽に楽しめるハイキングコース。その日は5時間くらい歩くつもりで、10時頃に峠の駐車場にバイクを停めて歩き始めました。秋の始まりでしたし、低いといえども山なので、それほど暑さは感じませんでした。登山道もしっかり整備されていて、途中には茶店もあるコースでした。

イメージ
行楽シーズンに合わせてバスや施設の営業状況は変わる

さて、順調に進んでいましたが天気もいいので汗が出ます。今回は途中に茶店があるので、多くの水は持たなくてもいいだろうというのが私の判断でした。途中で買うことを考えて、500mlのペットボトル1本のみという、今思えば安易な考えで楽しく歩いていました。

問題は、すべてのお店が開いているとは限らないということです。出発地点にあった茶店は開いていましたが、途中の茶店は紅葉シーズンの後半ということもあり、閉まっていたのです。

天気が良く喉も乾き、歩き始めて2時間後にはペットボトルの水は1/3ほどになっていました。あてにしていた折り返し地点の茶店もしまっており、時間がたつにつれてペットボトルの水は減っていきます。折り返して戻る途中、歩き始めて3時間半後には、大切につないでいた水も完全になくなりました。14時頃のまだ気温の高い時間でしたので、ほんとうにつらかったです。真夏なら、まちがいなく熱中症になっていたでしょう。

険しいコースでもなく、下山に時間がかかるような場所でもなかったので、急いで下山してすぐに自動販売機で水分補給できたのが幸いでした。水の確保を予定していた場所に、水がないこともある。事前の念入りな確認と、それでも水分だけは余裕をもたないといけない、と学んだ経験でした。

慣れた山で油断して失敗

当時の年齢:50代後半、単独行動

季節と天候:10月下旬、晴れ

自宅の裏手に、国が保有し市町村が管理をしている地元の山があります。トレッキングするような山ではなく、送電線の管理や、地元の人間が山の双方を車で行き来するための、舗装された1車線の山道があります。いわゆる里山です。

里山の舗装道路
舗装道路といっても山の中の林道は暗く人通りもない

ある日いつものように午後14時くらいからその裏山へ散歩に出かけました。山の中に入るのではなく、ずっと舗装道路を歩きますので、それこそ、タオルと財布とペットボトルの水という超軽装備です。

散歩は長くても2時間くらいで、一番高い地点まで行って引き返すのがいつものルート。その先の道路は分かれ道がいくつかあり、地図にも書かれていないので先に進んだことはありませんでした。でも、その日は元気だったのかなぜかチャレンジしたくなり、途中二ヵ所くらいの分岐があったと思いますが、何となく選びながら30分くらい下ってみました。そこではたと、今日は午後からの散歩なので、早めに戻らないとまずいと気づいたのです。

といっても、戻るにはいつもより30分余計に時間がかかるわけで、どんどん夕暮れが迫ってきます。秋の日はつるべ落とし。夏に登った時は帰宅が夕方17時を過ぎても明るかったのですが、さすがに10月終わりともなると、だいぶ暗いです。

夕暮れの山イメージ
街はまだ明るくても山の中はヘッドランプが必要なほど暗くなる

そして事件は起きました。道を間違えたようなのです。元の道を戻っているつもりでしたが、Google Mapで見ると、山の反対側に自分がいることが青い点で示されています。舗装道路とはいえ、こんな名もない山の林道ですから、Google Mapでも点線くらいの表示しか出ません。当然、ルート案内で自宅までナビゲーション、ということもできません。

何の目印もなく似たような景色が延々と続く林道で、焦る気持ちを抑えつつ、このまま山の反対側へ下るか、もう一度わかるところへ戻るか、選択を迫られました。取った選択は、戻るでした。先に進んでも道が続いているかわからないし、何キロあってどこへ出るかもわからない。それよりは、なんとか一番高い地点を目指して戻り、自宅側の道へ帰ることを選びました。

山の中なので木立で夕日は遮られ、足元も見えないくらいに暗くなってきます。明かりは携帯電話だけ。それも、バッテリーは半分以下。いつもなら絶対やりませんが暗い中とにかく早歩きで、ようやくわかるところまで戻り、民家の明かりが見えるところまで下りてきたとき、無事に帰れた、、、と心から安堵しました。

安易に午後から山に入ってしまった自分を愚かだと思いました。ときどき散歩しているルートで、しかも舗装道路、という油断もありました。これがもし、気まぐれに山の中へ入り込んでいたら、完全な山道だったら、どうなっていたでしょう。もし戻れなかったとしたら、充電が切れたとしたら、軽装備で秋の夜の寒さを持ちこたえることができたのか。

なんだそんなことで?と思うかもしれませんが、いざその場面になってみると、恐怖感は想像以上だと思います。鼓動が激しくなるくらい怖いです。道に迷い、暗くなってしまったあの状況は、思い出しても胸が苦しくなります。

まとめ

いずれも、ドラマになるような大したできごとではないのですが、初歩的な無知や危機感のなさで失敗した事例です。

登山を続けていると、誰もが多少なりとも小さな失敗を経験していると思います。ちょっと水や行動食が足りなかった、防寒着を1枚持ってきておけばよかった、下山が遅れたなど、同じ小さな失敗を繰り返している人は、それがいつか致命的な事態につながることもあるかもしれません。失敗したけど何とかなった、ではなく、次は同じ失敗をしないように対策を考えて実践するのが「経験を積む」ことだと思います。

怖いこと、しんどいこと、いろいろな経験と思い出ができるのが、山歩きの魅力だと思っています。初心者でも失敗を恐れずに、ぜひ何度も山へ行って経験を積んで、心配や不安なく登山を楽しめるようになってください。

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この記事を書いたひと
やまだ しょうきち

近くの山に登って自分の住む街を眺めるのがホッコリタイム。行くたびに違った表情をみせてくれるのが山の魅力。だから何度も行きたくなってしまいます。「山には魔性がある」と感じている今日この頃です。

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山歩みち