新しい登山靴がだんだん自分にフィットしてくると嬉しいですよね。頼もしい相棒のような気がしてきます。しかし、道具なので使っていくうちに修理が必要になることも。登山靴でよく傷むのは、なんといってもソール。ここでは、登山靴のソールの傷み方や、修理・手入れの方法などをご紹介します。大切にケアしていくことで、より魅力的な相棒になってくれますよ。
登山靴の修理が必要な場合とは?
最も多いのはソールの傷み
登山靴のソールは、使えば使うほどすり減るため、靴底の溝が浅くなりすべりやすい状態になっていきます。また、すり減るのは地面に接する靴底(アウトソール)ですが、経年劣化を起こしやすいのはその上のミッドソールという部分。ポリウレタンという素材でできており、ずっと使わずに保管しているだけでも劣化してしまいます。
ソールの寿命は、適切に使ったとして5年くらいを目安にしましょう。使った日数ではなく、買ってから5年と考える必要があります。
ソールが傷んできたらどうしたらいいの?
アウトソールの溝がすり減って浅くなってきたり、4~5年経過してソールが気になってきた場合は、「ソールだけ張り替える」か「新たに買い替える」かの、二つの方法があります。
なじんで愛着のある靴は、ソールを張り替えることで復活が期待できます。張り替えは登山用品専門店や靴修理専門店、メーカーなどに依頼します。張り替えが可能かどうかは、靴の種類や劣化の度合いによるので、まずは修理に出してプロに見てもらいましょう。縦走用などの比較的高額で重い登山靴は、大体の場合が張り替えできます。対して初心者向けの靴は、張り替えできないタイプが多いです。
ソールの張り替えに必要な金額・期間
ソールの張り替えは左右合わせて、目安としては1万円前後かかります。ミッドソールも替えるとなるとさらに数千円。低山用の靴だと、新しいものを買うのとあまり変わらないともいえます。
また、張り替えの期間は1か月ほどかかるので、持っているのが1足だけだとその間は山に行けなくなってしまいます。「愛着」「金額」「使えない期間」のどれを重視するかが迷いどころですね。
これだけのお金と時間がかかるのは、職人さんによる手作業だから。もし金額や期間に問題なければ、一度張り替えして仕上がりを確かめてみるのは、いい経験になりますのでおすすめです。
ソール以外に傷むところは?
ソール以外で傷むものといえば、まず靴ひも。長期間使っていると、擦れて切れやすくなっていきますので、出かける前にチェックして交換するか、予備を持っておくと安心です。あわせて靴ひもを通す金具も見ておきましょう。錆びて弱くなっていたり、取り付け部分がグラグラしてくることがあります。
また、岩や靴同士がぶつかったりすることで、本体の縫い目にほつれができることがあります。これらも、お店やメーカーで修理してもらえます。
登山中にソールがはがれたときの対処法
応急処置グッズを持っておこう
突然起こるのがソールはがれ。非常に危険ですし、お気に入りの靴なら心理的にもショックです。しかし、これは実際によくあるトラブルです。決してそのまま歩かず、落ち着いて応急処置をしてください。ケガの時のための救急セットに、手では切れないようなビニールテープをひとつ入れておくのがおすすめです。その他、テーピングテープ、針金、ひもなど、長くて丈夫なものでぐるぐる巻いて固定します。
下山するまで気をつけること
なんとか縛りつけてそれなりに安定したとしても、そのまま登山を続けることはあきらめましょう。針金を使っていると石の上で滑りやすくなり、よほど丈夫なひもでないと歩いているうちに摩擦で切れることもあります。そして片方がはがれたならもう片方も怪しいということになり、危険なことには変わりありません。最短で安全な道を選び、下山してください。
もし固定するためのものを何も持っていない場合、登山道の状態が良ければ、半分つながっているような中途半端な状態よりも剥がしてしまって、足裏に気をつけながら慎重に歩く方法もあります。
ソールはがれを事前に防止するには
- 家でソールを曲げたりしてみる
- しばらく使っていないなら近所を歩いてみる
- ミッドソールにひび割れや表面の劣化がないか確認する
「使わなくても劣化は進む」ことをよく認識しておくことが大切です。あまり使っていない新品同様だから大丈夫、ということはありません。また、ほとんど使ってないからと、人から靴をもらうこともありますが、その場合でも実際に使う前に、上記を必ずチェックしましょう。せっかくいただいた靴の状態をきちんと把握することは重要です。
登山靴の手入れと保管
下山後にやっておきたい手入れ
- 中敷きは抜いて洗い、靴の中の砂を落とす
- 靴ひもを取って洗う
- 靴表面の汚れ、特に本体とソールとの継ぎ目の汚れを落とす
- 靴底(アウトソール)は溝の泥汚れをブラシで水洗いする
素材が劣化してしまうため直射日光は避けて、しっかり乾かします。ストーブなどの熱で乾かすのもNGです。完全に乾いてから最後に防水スプレーをすることで、保管中も湿度から守られます。汚れを落とさないまま防水スプレーだけを使用するのはやめましょう。
風通しの良い場所で保管を
登山靴を保管するのに適した場所は、風通しがよく、湿度が低いところです。買った時の箱やビニール袋には入れず、そのまま保管しましょう。形が崩れるのを防ぐために靴ひもは通しておき、型崩れと湿気防止に新聞紙などを詰めておくのも効果があります。
気に入った登山靴は、適した修理や手入れを続けていくことで、長く力を発揮してくれます。すてきな相棒を大事にして、登山を楽しんでくださいね。