初めての登山計画!失敗しないコース選びのチェックポイント

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初めての登山は、友達に誘われたり、ツアーに参加したり、誰かに連れて行ってもらうことがほとんどだと思います。そこから「自分で決めて登る登山」にステップアップするにあたり、何をどうやって決めれば良いのかも分かりにくいですよね。今回は、山行計画を自分で考える時にとても大切な「登山コースを決める」時のチェックポイントについてご紹介します。

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初めて自分でコースを選ぶ場合

ソロ登山、もしくは自分より登山経験の浅い人と行く場合は、特にコース選びも慎重にならなければいけません。沢沿いが楽しそうだけど危なげな気もするし、緩やかな森を通るコースは歩きやすそうだけど、コースタイムが長いとか。安全に楽しく登れるコースはどうやって選べば良いのか、ポイントはいくつかあります。

コース選び 赤岳山頂

◆ 登山者の多いコース

私が初めて八ヶ岳の主峰である赤岳登頂に選んだコースは、最もメジャーで登山者の多い美濃戸口からのコースでした。初めて登る山域だったので道迷いの心配があったことと、もし遭難しても救助体制が取りやすいはずといった理由から選んだ道でしたが、おかげで安全かつ精神的にも安心して登ることができました。まずは登山者の多い有名なコースで登るのがオススメです。

◆ 誰かと登ったことのあるコース

まだ登山経験が浅かった頃、地図を血眼になって眺めても、コース上に何があるのか、いまいち見当がつきませんでした。一直線で短いコースだから楽そう、なんて妄想して行ってみたら、天国に続いているのかと思う急な尾根と崩れやすい足場でした。

まだ自分の判断に不安がある場合は、過去に誰かと登ったことのあるコースを選択すればリスクを避けることができます。ある程度落ち着いて登れますし、無駄に焦ったり急ぐ必要もなくなったりと、ソロ登山の練習としても一石二鳥の選択肢です。

コース選びに迷う時のチェックポイント

北アルプスや奥秩父など、登山コースを多く持つ人気の山域ほど、コース選びに苦労します。決めるには考えることが多すぎて、結局どこが良いのか迷ってしまう時は、以下のことを参考にしてみてください。

金峰山
森林限界を越えた地点から望む金峰山。頂上のシンボルである五丈岩を見ると今も心躍る

◆ 登ってみたいコースか

登山雑誌の表紙や山岳映画に出るような森林限界を越えた山は、登山を始めた頃からの憧れでした。登山経験を重ねたある日、「カッコいい山は森林限界を越えている」ことを知り「森林限界を越えた山に行きたい」という大雑把な気持ちで検索してみました。

まず森林限界を調べると、どうやら地域ごとで森林限界の標高が変わることを知り、関東在住なので「関東 森林限界 日帰り」ということで探してみたところ金峰山が出てきて「あの山良いな」と、直感で選んだのが始まりでした。ハイマツ帯の緑と岩稜は私が理想とした山そのものであり、頂上にある五丈岩は、一度この目で見てみたいと思うに足る存在感がありました。

コースはいくつかありましたが、単独で森林限界を越えるという不安から、最短コースで安全に登れるコースを探しました。登り応えを考えれば物足りなさがありますが、この時は「標高の高い場所を歩きたい」が目的だったので、スタートが低い場所は除外すると、金峰山で最も有力なのは登り2時間程度で歩ける大弛峠からのコースで、スタート地点での標高も2,360mと高いのも魅力でした。

そして山頂に立った時、体から静かに湧き上がる達成感が心の中に満たされる感動は、初めて登った時から10年近く経った今でも忘れられないほどです。以降、メジャーな瑞牆山荘からのルートを通年で登り、今もバリエーションルートで登頂を計画しているなど、金峰山は私の登山史の中で重要な記憶を刻む山になりました。

こうして振り返って思うのは、計画から当日の行動まで、登山者を突き動かすエネルギーは「あの道を登りたい」「あの景色が見たい」と思う気持ちなのです。

登山口までのアクセスにバイクを使う

◆ 登山口までのアクセス

登山口と下山口が同じ場合はマイカーでも行けますが、私はバイクをよく使います。渋滞の心配がなく機動力も高いのがメリットですが、下山で疲れた時はしんどく、余力を残しておかないと帰りに苦行が待っています。

長期縦走や下山が登山口と異なる場合は、電車、バスを使うのが便利です。北アルプスや奥秩父など、広大な山域の沢に入る場合は、タクシーを使って入渓点近くまで行くこともあります。乗り合わせで行けば案外安く行けたりもするので、タクシーも選択肢のひとつに入れて、具体的に距離や料金を調べてみることをおすすめします。

◆ コースタイム

コースタイムは山行そのものに影響を与えますので、結構気にするポイントです。予定より早く行ければラッキー程度に思っておき、予定より遅くなることを想定して、コース選びの参考にします。

私の経験上、登りで休憩を含まないコースタイム5時間以上の山で、予定通りになったことは少ないです。南アルプスの鳳凰三山の一角を目指した時は、アクシデントによるアクシデント(無謀なラッセルにルートミスなど)が重なり、初日は避難小屋に昼過ぎに辿り着くはずが、陽が落ちた夜に豪雪の中逃げ込んだという苦い記憶があります。

行動時間を1日最大8時間、慣れてないうちは1日6時間など、自分の体力にあわせて時間も余裕を持って計算します。上記の失敗も、予定の行動距離と時間をもっと長くとっていたら、避難小屋に辿り着くことなく敗退か遭難、ビバークしていたと思います。

◆ 危険箇所

登山地図やネットの記録を見ていると、コース上の危険箇所が載っています。記録ではあっさり通過しているように見えるのに、現地に行ってみると嘘つき!とネットの情報を恨みたくなるほど危険な場所で、予定以上の時間を要することがあります。 危険箇所は時間がかかるものと想定し、ネットの記録も、自分の実力と照らし合わせて考えるべきです。

「鎖場」は混雑するものと思い、「渡渉」は増水を想像しておき、「トラバース」は思ったより傾斜がキツイなど、最悪な想像をしておけば、後々楽になります。ソロ登山の場合はこの想像がより具体的にできると安心です。

私は沢登りを愛好していますが、滝を楽に越えたというような記録ほど信用ならず、細かく残された記録のほうが信用度が高いです。

富士山
無事登頂した御殿場ルート序盤からの富士山。もう行きたくないと思えるほどの標高差だった

◆ 標高差

標高差(スタート地点から山頂までの高さ)はコースを決める大切な参考ポイントです。初心者のうちは見落としがちなのですが、ここに距離や参考タイムの情報を加えると、どんなコースかをより想像しやすくなります。

例えば、富士山の富士吉田口から山頂までの標高差は約1,400mあり、これはなかなか大きな標高差だといえます。富士山を登っておけば、これから色々な山で標高差を見た時に「あの時よりハード」「あれに比べれば楽」という比較ができます。

標高差が1,000mを越えると結構キツイですが、標高差500m程度なら高尾山だったり、ハイキング、里山レベルです。但し、それを短い距離で一気に登るのであれば、急斜面ということになります。

ちなみに、富士山で最も時間がかかる御殿場口から日帰りで山頂往復をしたことがあります。その標高差は2,250m。往復約20km、休憩なしのコースタイム10時間40分は、上述の目安である8時間の行動時間を大きく超えます。しかも山頂は高山症状も出る日本一の標高。そこに向けてどこよりも低い登山口からスタートするということで、出発前には「今ならまだ止められる」と無意識の意識が訴えかけてきたのを覚えています。

夜から登り翌朝下山で決行、無事登頂しましたが、同行者は3,000m付近で高山病の兆候が出てペースが落ち、結果12時間ほどかかり、数字と予想通りの非常にしんどい登山でした。

ただ、標高差があるコースは景色の移り変わりもあるので、山登りの達成感、充実感を味わうにはオススメです。

水場

◆ 水場やトイレ、エスケープルート

夏場の丹沢を縦走していた時、のどが渇いてクリアボトルを開けたらほんの少しの水しか残っておらず、日本酒のようにチビチビと飲んで耐え、稜線から少し外れた水場に干物のような状態になってなんとか辿り着いたことがありました。夏の丹沢はセイロの中にいるのかと思えるほどに蒸し暑いので、この時の水の味はよく覚えています。

水場やトイレの位置、そして雷や悪天ですぐに下山できるようなエスケープルートがあるかなど、いざという時に対応しやすいかどうかもコース選びのポイントになります。

まとめ

コース選び イメージ

私は登る山を決めてどのコースが良いかを考えた時、まずは登れるかどうかよりも、「このコースを登りたいか」「ワクワクするか」といった気持ちを最優先にしています。この気持ちに背くと自分らしくない登山をすることになるので、この感情を大事にして、そこから考えることが大切なのだと感じています。

眺望はいまいちだけどアクセスが楽だとか、本当は別の道がいいけど日数がかかるからとか、現実的な便利さでばかり選んでいないでしょうか。登りたいコースがまずあって、ではどうしたら登れるだろうかと必要な情報を集めて検討していくことで、ワクワクする山行が想像できるようになり、理想的な登頂が見えてくるのです。

気持ちは熱く、準備は冷静に。自分なりに納得のいくコース選択で、より充実した登山を楽しんでください。

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この記事を書いたひと
pepe

登山、沢登り、渓流釣りをこよなく愛するアウトドアライター。好きな山は八ヶ岳の権現岳と丹沢の丹沢山。山でのごはんと焚き火が何よりも楽しみです。山に行けない日が続くと禁断症状が起き、何も手につかなくなります。

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山歩みち