映画『セブンイヤーズインチベット』男も惚れる 美青年ブラッド・ピットの演技に注目せよ

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【推し企画】山歩みちライターと編集部が、自分の好きな登山に関する「推し」映画や本などについて個人的な想いのみで語っていきます!

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『セブンイヤーズインチベット』あらすじ

1939年、秋。オーストリアの世界的登山家ハラーは、世界最高峰の制覇を目指してヒマラヤ山脈へと向かった。チベットへたどり着いた彼は、そこで若きダライ・ラマの教師となって、激動のチベットで7年をすごす。登山家としての名誉と夢だけを追い続けていたハラーは、自らを再発見する、魂の再生の旅を体験することになる。

失われた神の地「チベット」を舞台に、1人の登山家の数奇な運命を、実話をもとに描いている。実在したオーストリアの登山家ハインリヒ・ハラーには、若手ナンバーワンのブラッド・ピットが扮する。

引用:amazon

若手実力派俳優ブラットピットが主演

主演は、90年代後半ハリウッドの若手実力派俳優として、不動の地位を手にしていたブラットピット。映画以外にもCMなどのメディアに多数出演しており、抜群の知名度、別格の人気を誇っていました。TVをつけると彼の顔を見ない日がないくらい、日本でもおなじみの有名人。特筆すべきは、女性だけでなく、男性からの人気も高かったことでした。

筆者はこの当時、映画鑑賞にハマっていました。年間ペースで80本ぐらいは観ていたと思います。ちなみに90年代中盤のブラットピット出演作品では、サイコサスペンス「セブン」やウイルスSF映画「12モンキーズ」などが有名ですが、そんな中で「セブンイヤーズインチベット」は、かなり異質の作品といえるのです。

この映画は人間ドラマがテーマ、しかも登山がメイン。派手なアクションシーンやミステリアスな雰囲気、恋愛要素もほぼ皆無という地味な要素が満載、世間ではあまり話題にならなかった映画でした。実際、筆者も鑑賞直前まで、ブラットピットが出演していたことすら知らないレベルでの認識でした。

しかし、鑑賞後は評価が一変します。この作品はブラットピットが演じる登山家を通して、等身大の彼の格好良さが再確認できるのです。ブラットピットの当時の年齢は33歳、しかも登山以外に、政治問題や家族の大切さも考えさせられる、とても深いテーマを含んだ優れた作品として、再評価した記憶があります。

Seven Years In Tibet – Trailer

登山家ブラットピットの迫真演技

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この映画の主人公はオーストリア出身の登山家。名前はハインリヒ・ハラー、アイガー北壁の初登頂を成功させるほどの実力の持ち主です。時代は第2次世界大戦ど真ん中。ナチスドイツ軍の統治下でもあった母国の威信を背負い、ヒマラヤ山脈へと旅立ちます。

あのブラットピットが雪山登山家を演じている!ナイスガイの彼からは想像もつかないギャップがこの映画の魅力のひとつでもあります。実際に撮影が行われたのはチベットではなく、南米のアルゼンチンなのですが、それでも登山の迫力は十分に伝わってきます。

・ひとつ選択を間違えると仲間もろとも命を失いかねない、登山の緊張感

・アイゼンとピッケルを駆使しなければ越えられない、氷壁の絶対感

・雪崩や吹雪の恐怖に怯えながら進まなくてはいけない、雪山の厳しさ

登山をする上で避けて通ることができない数々の自然界の掟を、ブラットピットが迫真の演技で体現しています。

ちなみに1990年代は、今ほどCG技術が発達していなかったこともあり、役者の体当たり演技で臨場感を映し出そうとする映画は、現在よりも多かった時代背景があります。

人生の悲哀を演じるブラットピット

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結局、ヒマラヤ登頂隊は悪天候により撤退、さらに政治的事情もありインドで捕虜の身になります。自由を奪われ、挫折感も味わって、初めて普段ないがしろにしていた家族の大切さを実感するハラー。しかし、獄中に届いたのは妻からの離婚届と再婚決定の便り。主人公は登山能力が極めて優秀な反面、仲間意識が低く、家族も顧みない、ものすごく自己中心的な人物だったのです。

どんなに登山能力が高くても、相手を見下す態度を取れば、誰からも好かれず、孤独な状況に陥ります。さらに追い打ちをかけるように、家族に見捨てられて希望を失ったことで自暴自棄になってしまう。有刺鉄線をつかんで暴れたり、脱走を試みるも失敗して袋だたきに遭ったりなど、悲哀な運命に翻弄される登山家を、ブラットピットが見事に演じています。悲劇と喜劇を行き来する男の人生を体現する様子は、観るものを惹きつけます。

映画内では話が進むにつれて、彼の人間性がゆっくり成長していく様子を描いています。今回映画を見直したことで、画面に写し出される若きブラットピットに、筆者も人間的に未熟であった学生時代の自分のイメージを重ね合わせることができました。以前よりも少しは成長できたのではと感じる今だからこそ、これまでとは違った視点で、「登山とは?」「家族の存在とは?」と、人生の意味を考える良い機会になりました。

ブラットピットから平和へのメッセージ

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ハラーはその後脱獄に成功、隣国のチベットに逃亡し、運よく政治要人に見込まれたことで、異国での新生活がスタートします。チベット生活に慣れ親しんでいくうちに、彼の人間性も成長し、遂には幼い国王ダライラマ14世の教育係に抜擢されます。しかし平和の日々は中国共産党の侵攻によって突如破られ、事実上、チベットは中国の支配下におかれます。ハラ―は苦脳や憤りを感じつつ、幼き国王の即位式を見届けた後、母国へと旅立つのです。

映画後半は主人公の荒んでいた心が、チベットの平和で心豊かな暮らしによってどんどん浄化していく様子が克明に描かれています。最初はいやな奴だったのに、みるみる良い人になっていく主人公。

演じているブラットピットが、さらにナイスガイになっていく様子が、すごく自然な感じで、かっこよさがより際立って見えます。絵になる男、ブラットピット。彼のサラサラブロンドヘアーは、90年代でも話題になりましたが、今作で改めて彼の髪の毛の美しさも再確認できます。

そして彼の容姿もさることながら、人間的にも大きく成長していく様子は、演技している彼の内面からの美しさを存分に醸し出しているのです。特に、ブラットピットとダライラマ14世を演じる子役との触れあいは、イケメン男子とラブリー子役とのほほえましい光景の連続。男心も女心も鷲づかみにされるシーンが満載です。

クライマックスで、中国政府の統治政策に抵抗しながらチベット国の自治を守ろうとする、彼のひたむきな姿や奮闘ぶりには、ひとりの人間として心を打たれます。例え映画の中の作られた世界だとしても、実話を元にしたストーリーであることで、ある種のリアリティーが感じ取れます。

ブラットピットのほとばしる熱い演技には、平和の尊さという強いメッセージも込められているのです。

まとめ

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登山や家族のテーマだけでなく、平和問題も絡めた異質の作品ですが、ブラットピットを知っている人なら、誰でもすんなりと入り込める内容です。若い時の彼は本気でカッコいいのです。

ラストで描かれている、和解した息子と一緒に雪山に登る場面は、家族持ちの登山好きなら、じんと心に響いてきます。公開から20年以上経った今でも色あせない、人間味あふれる、美しき男の演技をあなたの目で確かめてみてください。

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この記事を書いたひと
ちゅんざい

登山のきっかけは20代豪州留学時代、タスマニア島で5日間の縦走登山です。一眼レフカメラを携えながら、紅葉や夜景、朝日や樹氷を求めて山頂を目指す日々。低山からアルプス、時には海外ハイキングと日々楽しんでいます。

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