三歳児レベルの登山速度がコースタイムで歩けるようになるまでの日常トレーニング法

階段でトレーニング 登山ノウハウ
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仕事やショッピングなど街では何キロも歩いているのに、登山ではすぐに疲れてしまう気がしませんか?「登山の一番のトレーニングは登山」と言われますが、仕事と天気の都合でそう頻繁にも登れません。そこで、日常生活で何か鍛えられないかと試した結果、簡単で続けやすく効果のあったトレーニング方法を紹介します。

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下山スピードで三歳児に負ける

木曽駒ヶ岳

本格的に登山を始めようと登山靴などアイテムを一式揃え、初めて登ったのが木曽駒ヶ岳でした。

大学生のころは武道系の運動部で段位まで取ったのもあり、体力と筋力は人並み以上にあると自負していた私。卒業して3年ほどたち、運動と言えばせいぜい近所の公園を歩く程度でしたが、散歩なら2時間ほど平気で歩くことができますし、会社の同期達よりはかなり体力があります。

ブランクがあるとはいえ、木曽駒ヶ岳の初心者向けコースは往復3.5km、高低差350m、コースタイムでたったの2時間半。全く問題なく平気だろうと思っていたのです。しかし、、、

いざ登ってみると、荷物を背負っての千畳敷の急登は、永遠に続くように思えるほど長く感じました。木曽駒ヶ岳手前の山荘まで、コースタイムでは1時間ちょっとのはずが2時間もかかり、すでに疲労困憊。目の前に山頂が見えていて同行者はまだ元気でしたが、私の体力が下山まで持つか不安が大きくなってきました。せっかくここまで来たからという気持ちはありましたが、下山までに日が暮れたり歩けなくなってしまう危険性も考えられるほど疲れ果てており、残念ながら引き返すことに。

引き返すと決めたものの、下りでは既にひざに力が入らず足の踏ん張りもききません。千畳敷まで戻ってきたころには、岩に座って一段一段下りるしかないほどでした。隣を歩いていた三歳くらいのこどもよりもゆっくりとしか動けず、結局、コースタイム2時間半のところを3時間半もかかるという結果に。下山した時には死にそうなほど疲れていて、翌日は筋肉痛で動けませんでした。

日常生活でのトレーニングを決意

ジムでトレーニング
出典:写真AC

初めての登山でせっかく休日に遠出してアルプスまで行ったのに、山頂が目の前にあるのに登頂できず、同行者の足手まといになり、三歳児に負けてしまい、死ぬほど疲れて筋肉痛で動けなくなりと、運動経験があるからと舐めてかかったら痛い目に合いました。

登山を始めようと意気込んでアイテムを揃えたのにこのままでは続けられないと焦り、すぐさまトレーニングを決意。仕事をしている日はなかなかジムには行けないし、休日はできるだけ山に行きたいので、日常生活の中でトレーニングができないかを考えることにしました。

仕事はデスクワークがメインではありますが、会議などのために、社内で地下から4階までを移動することがよくあります。また、もともと健康のために家の最寄駅ではなく隣の駅まで歩いて通勤していました。歩く機会は多くとれそうだったので、その時間でできるトレーニングを考えて試してみることに。

その結果、簡単で続けやすくて効果があり、今でも続けている3種類のトレーニングを紹介します。

歩く時:大股で太ももの裏側を鍛える

太ももの付け根から足を動かして、なるべく大股で歩きます。後ろの足で蹴りだすように歩くと、太ももからおしりの裏側の筋肉(ハムストリングス、大殿筋)が鍛えられます。

登山では歩幅を狭く小股で歩くのが基本ですが、これは省エネで筋肉をできるだけ無駄に使わないようにするためです。筋肉を鍛えるためにはその逆が必要で、大股で歩いて負荷をかけることになります。大股を意識し始めてからも、最初は脚の内側の筋肉(内転筋)を使って歩いていたようで、しばらくは内転筋を鍛えてしまっていました。気付いてからは「鍛えたい筋肉の位置」を特に意識して歩くようにしました。

トレーニング時間としては、通勤の往復徒歩25分と、仕事中の会社内での移動約1時間。この間は常に大股で歩くことを心掛けました。たまに昼休みの散歩をトレーニングに加えると、気分転換になり気持ちの上でも効果がありました。

階段上り:一段飛ばしで太ももの表側を鍛える

階段でトレーニング
出典:写真AC

階段を一段飛ばしで上ることで、太ももの前側の筋肉(大腿四頭筋)が鍛えられます。もちろんお尻など脚全体にも大きな刺激が与えられます。

最初はなかなかきついですが、続けているといつの間にか慣れて、苦ではなくなってきます。ちなみに、中だるみして一週間ほどさぼってしまったことがありましたが、久々にやってみると先週は楽だったのに息が上がり元に戻ってしまっており、継続は大事だなとひしひしと感じました。

トレーニング時間としては、通勤での駅の階段と、社内の移動10階分ほど。トイレは敢えてひとつ上の階に行くと、1日数回のいい運動になります。

階段下り:下山をイメージしてバランス力を鍛える

階段を下りる時には、上側の後ろ足に重心を残したまま、そっと前の足を着地します。これも太ももの前側の筋肉(大腿四頭筋)が鍛えられるほか、バランスが取れるようになります。

日常生活での階段は、何も考えなければ重力に任せてトントンと下りることができます。しかし山は足元が平らではないので、筋肉を使って姿勢を保ちながら下りなければいけません。さらに滑りやすい状況ではブレーキをかけながら下りるため、筋肉への負荷が上がります。そのため普段でも下山するときのように、筋肉を意識して使いながらゆっくり下りるようにしました。

トレーニング時間としては、階段の上りと同様に、駅の階段と社内の移動を利用。私は特に下山が苦手だったので、イメージトレーニングにもなって一番効果を実感できました。

1ヶ月半でコースタイムで歩けるほどに成長

日常トレーニングのほか、1ヶ月に2~3回、3~6㎞ほどの日帰り登山も並行して行うこと約1ヶ月半。恵那山の往復12km・高低差1200mの行程をほぼコースタイム通りで歩くことができ、苦手だった下山でもスピードを落とさずに帰ってこれるようになりました。

初めての木曽駒ヶ岳は往復3.5km、高低差350mなのにコースタイムの1.4倍もかかっていたのですから、この1ヶ月半のトレーニングでかなり変わったことがわかります。

恵那山の時はまだ翌日に筋肉痛になっていましたが、さらに半年たった今では、コースタイム通りに登っても筋肉痛が出ない身体になりました。

まとめ:生活動作を最大限に活かす

初めての登山では、三歳児レベルの速度で足がガクガクになりながら下山していたのが、日常生活でのトレーニングで鍛えることで、今ではコースタイム通りで歩けるうえに筋肉痛にもなりません。

もちろん山を歩くことが一番のトレーニングにはなりますが、忙しく働く社会人としては仕事や天気などのタイミングも考えると、普段の生活にトレーニングを取り入れて日常的に鍛える方が現実的ではないかと思います。また、仕事の合間に登山のことを考えてイメージトレーニングができることで、気分転換にもなりました。

取り入れ方のコツとしては、トレーニングとしての時間をわざわざ作るのではなく、日常の行動や動作を活かした内容を考えること。今回やってみたことは、毎日必ずやっている行動の中で、使っている部位を特定して、そこに意識を集中して負荷をかけるだけのトレーニングです。張り切って毎日スクワット何十回、などは続けるのがなかなか難しいと思います。

まずは歩く、立つ、座るといった生活動作の中で、自分ができることを試してみてはいかがでしょうか。たった1ヶ月半でも効果があるのですから、やってみて絶対に損はないと強くおすすめします。

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この記事を書いたひと
あぶらばち

名古屋在住の20代会社員ライター。東海地方を中心に夏はアルプス、冬は低山、カメラと双眼鏡での野鳥観察も楽しみのひとつ。高所恐怖症ではしごや岩場がとても怖いのが悩みながらも、高所と虫の克服を目指してトレーニング中。

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