冬の丹沢入門ルート「大倉~塔ノ岳ピストン」で体力づくり

関東
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関東にある山域の中で、神奈川県、都内近郊からのアクセスが良好な山域は、なんといっても丹沢です。冬でも主要なピークへは整った登山道があり、雪山入門に最適な魅力ある山に変貌します。距離や勾配としても冬の間の体力キープに登るのにぴったり。今回は冬の丹沢の特徴と入門ルートをご紹介します。

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冬の丹沢、天候の特徴

丹沢は相模湾が近いため海からの影響を受けやすく、夏は霧の発生や天候の崩れも多いのですが、冬は冬型の気圧配置で天候は安定し、澄み切った空が広がることが多いです。時折上昇気流が発生すると、まとまった降雪になることがあります。夏は暑すぎるともいえる丹沢ですが、冬の晴れ間はどのコースも快適に登れる登山適期。雪を踏みしめながら登るのは、都心に近い神奈川においては貴重な経験です。

但し、天気が荒れてまとまった降雪があると、ひと晩で登山道が埋まるほどの雪が積もります。目の前の登山者の声が聞こえないほどの強風が吹くこともあり、悪天候時はアルプス並みに厳しい環境となります。入門向けと侮らず、悪天候時は登山を中止するなどの判断が必要です。

冬の丹沢、登山道の状況

例年12月よりまとまった積雪があり、麓では北斜面や日陰に雪が常に残るようになり、1,200mを越えると登山道に積雪が見られます。主稜線上では50cm以上の積雪があり、チェーンスパイク、軽アイゼンは必携です。

雪は水分を多分に含んでおり、ずっしりと重たい雪です。気温が上昇すると一気に溶け、南側の登山道ではぬかるみも多くなります。丹沢では笹の上に降り積もった雪を踏み抜くことがよくあります。一度踏み抜くと抜け出すのに苦労し、思わぬ体力を使いますので、コースタイムには余裕を持って計算しておくのが良いです。

山域北側から厳冬期になるほど、状況によってはスノーシュー、アイゼンが必要になることもあります。雪山初心者はそういったエリアや時期は避けるのが正解です。

<2019年度の積雪状況>まとまった降雪があるものの、暖冬の影響ですぐに溶けて登山道が露出しています。積雪は多いところで30㎝ですが、長くは続きません。ぬかるみも多いのでゲイターを持参すると活躍します。

丹沢(塔ノ岳)へのアクセス

小田急渋沢駅(神奈川中央交通バス約15分)→大倉バス停

大倉バス停の目の前が登山口です。時間帯にもよりますが朝は1時間に数本出ており、土日で登山者が多い時には臨時便も出ます。冬は日没も早いので、7時台のバスに乗り、8時までに登山を始めると良いです。

丹沢(塔ノ岳)のおすすめ登山コース

コースタイム:夏で往復約5時間。積雪がある場合は時間がかかるので、今回のルートではプラス1時間を見ておくと良い。

登り:大倉 (90分) →堀山の家 (50分) →花立山荘 (40分) →塔ノ岳

下り:塔ノ岳 (30分) →花立山荘 (30分) →堀山の家 (80分) →大倉

※ 今回紹介するルートに危険個所はないので、装備と体調を万全に。他のルートを使う時は 神奈川県立 秦野ビジターセンター・西丹沢ビジターセンター のサイトにて登山道の最新状況を確認してください。

冬の丹沢で初心者にもオススメ!といえば大倉から目指す塔ノ岳です。明瞭で歩きやすい登山道、視界が開けるほどに増していく雪と銀世界は、雪山を体験するには最適。その丹沢の眺望を堪能できる表尾根ルートをご紹介します。

【大倉から堀山の家】初めは舗装路を歩き、次第に登山道に入っていきます。大倉尾根は通称「バカ尾根」と呼ばれ、短い距離で一気に山頂まで上がるコースです。そのため、歩き始めると早い段階で体が熱くなるので、早めにウェアを脱いだりして調整しておくと良いです。

途中には休憩するのに最適な場所が幾つもあり、画像の見晴茶屋はスタートして30分ほどの場所に位置しています。ここから勾配が急になるので、呼吸を整えておきます。

しっかりしたルートなので、1歩ずつ確実に歩きます。登りと平坦な道を繰り返すと、堀山の家に到着します。 堀山の家で少し休憩を取り、後半戦に備えます。

【堀山の家から花立山荘】堀山の家から花立山荘までのルートにひとつ、この登山で心がへし折られるポイントがあります。花立山荘直下にある長い階段です。

ここに至るまでに足も疲労している中、登山者を試すかのように続くこの長い階段、辛いですが山頂への天国への階段だと思って、力をふり絞って登りましょう。この辺りから視界も開け、丹沢らしい眺望が望めます。階段を終えると、花立山荘です。

2019年12月に撮影しました。この時は雪が少ないですが、低気圧でドカ雪が降ると以下のような一面雪の世界になります。ここから路面が凍結し、軽アイゼン、チェーンアイゼンが必要になってくるので、基本装備として必ず持っておきます。

【花立山荘から塔ノ岳】さあ、最後の登りです。ここからはこれまでの登りと比べれば楽な勾配ですが、積雪が顕著に見られるようになります。

雪山らしい景色が続くので、眺望だけでなく、首都圏では滅多に見られない白い世界を十分に満喫できます。

山頂は間近です。

山頂に着くと、この日は沢山の登山者で賑わっていました。

塔ノ岳は周囲360度の大展望です。

塔ノ岳には通年営業の尊仏山荘があります。ここでは飲食の販売や注文をすれば休憩をすることも出来ます。冬も営業している山小屋は非常にありがたい存在です。

【来た道を下山】上りと下りで同じルートを使うのも、雪山入門者向け。様子のわかっている道を戻るので、何かあっても落ち着いて対処できます。上りでは時間がかかる急勾配ですが、帰りは一気に下ります。速くなる分、足の負担が増すので、転倒や怪我には十分に気を付けて下山しましょう。

まとめ

雪が少ない年でも深部では積雪が残っていますので、チェーンスパイクや軽アイゼンは必携です。本格的な雪山に挑戦する前の足慣らしとしても、塔ノ岳は登り応えがある山です。アクセスも便利なので冬でも行きやすいのも魅力。装備と気持ちをしっかり冬仕様に整えて、丹沢の冬を楽しんでください。

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この記事を書いたひと

登山、沢登り、渓流釣りをこよなく愛するアウトドアライター。好きな山は八ヶ岳の権現岳と丹沢の丹沢山。山でのごはんと焚き火が何よりも楽しみです。山に行けない日が続くと禁断症状が起き、何も手につかなくなります。

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