山登りでとても楽しみなイベントが「食事」です。景色を楽しみながら、気持ちの良い風を浴びながら、非日常の空間で食べる食事は、普段の何倍も美味しく感じます。そんな、至福の食べ物のひとつに「カップラーメン」があります。今回は、いつものカップラーメンを初めて山で食べるまでの準備と、手軽なアレンジメニューをご紹介します。
カップラーメンが登山でおすすめな理由
登山に必要な栄養素を簡単に摂取できる
登山は1日に継続して長時間の運動を行うので、食事を摂らないと下山までの体力がもちません。カップラーメンは水分、塩分、炭水化物からタンパク質まで、登山に必要な栄養素を一度に摂取できるうえに、お湯を入れて3分で調理が完了する手早さが魅力です。
何倍も美味しく感じる
体が求める栄養素を含んでいるため、食べた時の充実感が高く、なにより普段の味を知っているだけにこの充実感が他の食事より非常に感じやすいです。ベタですが、初めて登山で食べた日清のカップヌードルは、この世のものとは思えない、筆舌に尽くしがたい美味しさでした。
山でカップラーメンを食べるために必要な道具
初心者は忘れがちですが、カップラーメンのみならず、山で調理をするにはバーナーやコッヘル、自宅でいうコンロや鍋が必要です。食べる場所によっては水道もなく、水さえも自分で持っていくことになります。登山ではカップラーメンを食べるだけでも万全の準備が必要なのです。
バーナーとガスカートリッジ
家庭で使うカセットコンロは大きく登山には適さないため、登山専用の小型ガスバーナーが必要です。燃料のガスカートリッジも忘れずにセットで用意しましょう。
コッヘル(鍋)またはケトル(やかん)
登山用の小型鍋のことをコッヘルと呼び、深型で蓋もフライパンや皿として使用できます。カップラーメンの場合はお湯を沸かすだけなので、アウトドア専用の小型ケトルも使えます。最初に買うなら今後のためにも、お湯を沸かしたり調理まで幅広く使えるコッヘルがおすすめです。
お箸
使い捨てとわりきるなら、割り箸が最も軽くて手軽です。今後のためにフォークなどを購入するなら、 麺をほぐしたり混ぜたりする力が加えやすいのは金属製、軽さを重視するならプラスチック製がおすすめです。
水筒(ウォーターキャリ―)
ペットボトルでもいいのですが、もし購入するなら折りたためるプラスチック製のウォーターキャリ―が便利です。水を使えばその分荷物のスペースが広がるので、登山で愛用する人がとても多いです。破れを心配する人もいますが、ちょっとした衝撃では破れることがなく、私は一度もそうしたトラブルに見舞われたことはありません。
保温ボトル
重量は増えますが、お湯を家から持っていくことで、バーナーやガスを使わないという選択肢もあります。但し保温ボトルの性能によるので、場合によっては麺が固かったりぬるい仕上がりとなります。サーモスやモンベルから出ている保温ボトルが人気が高くおすすめです。軽量コンパクトで95度のお湯が6時間経過しても78度を保つほどの保温力があります。
味足し・アレンジ
ただのカップラーメンにオリジナリティを出したい場合の簡単アレンジです。友達と一緒の場合など、ちょっとした工夫ですがその場も盛り上がり、満足感が高まります。
チーズを乗せる
まろやかで適度な塩味のあるチーズは、カレーやシーフード系のカップラーメンに向いています。見た目にも画力があり、コッヘルの蓋でパリパリに焼けば、カップラーメンにはない食感が追加されます。個人的によく使うトッピングです。
乾燥野菜で彩りをプラス
カップラーメンは具材の量が少なく色味がシンプルですが、乾燥野菜を加えることで彩りが良くなり、不足しがちなビタミンも同時に摂取でき、カップラーメンの有用性がより高まります。個人的にはナスやネギなどがオススメです。変化球でインスタントみそ汁の具を入れる手もあります。
サラダ油を加える
遠慮せずたっぷり入れることで、ラーメンにコクがプラスされます。他の味足しやアレンジと合わせるのが良いです。油を加えることで冷めにくくなるので、登山に適したトッピングです。
片栗粉で即席あんかけ
常にアツアツのラーメンを食べたい人におすすめのアレンジです。片栗粉を少量溶いて加えるだけ。 山では、風や標高の高さ、気温によって料理がすぐに冷めてしまいます。 あんかけにすることで保温力が高まる上に味も濃厚に感じられ、少しでも体を温められる大きなメリットがあります。
上のアレンジを全部入りにすれば、栄養分、食感、保温性まで考慮したあんかけラーメンが完成します。ボリュームもあり、チーズの塩気と野菜の組み合わせもバッチリです。
カップラーメンは食器や調理工程を省略でき、乾燥していることで日持ちが良く、軽いことで荷物としても優秀なアイテムです。種類も豊富で毎回飽きないのもうれしいところ。とはいえかさばるので、他の荷物との兼ね合いを考慮しましょう。はじめての山ごはん、憧れのカップラーメンを堪能してくださいね。