ひとりでも楽しめるのが登山の良さではありますが、誰かと一緒に登ることで新しい情報や知識を得て、登山の幅を広げることもできます。私はソロ登山とグループ登山を半々くらいで楽しんでおり、サークルに参加することもあります。賛否両論ありますが、今やインターネットで繋がる登山サークルは一般的な世の中。ここでは選び方や参加する時の注意点などをご紹介します。
登山サークルと山岳会の違い
山の仲間を作りたいと思った時に思いつくのが登山サークルと山岳会。登山仲間・グループという広義では同じで明確な線引きはありませんが、今は厳しいイメージの山岳会よりも、気楽に楽しめそうな登山サークルを探している人の方が主流なのかなと感じます。
気楽に楽しみたいなら登山サークル
登山愛好者が集まって、自由に活動しているグループのことです。入会金や年会費、規則や例会といった厳しい縛りもないことから、初心者でも参加しやすい雰囲気なのが大きな特徴。
年齢制限が設けてあったり、女性限定であったりと様々なサークルがあります。ホームページやSNSを通じて新規会員を募集する方法が主流です。
登山について学んで身につけたいというよりは、誰かと楽しく登りたいという人向けです。
登山について学びたいなら山岳会
母体の大きい法人である日本山岳会や、各都道府県の山岳連盟に所属しているグループを「山岳会」と呼ぶことが多いようです。入会金や年会費も必要とされる場合があり、紹介状がなければ入会できないグループもあります。
登山技術や知識の習得をベースとして活動が続いてきているため、今でも規律が厳しい会も多いようで、定期的な例会(登山)も基本は出席する義務があるため、敷居が高めといえます。
但し、基本技術が備わっている先輩が多く、新人に教える文化もあるため、定期的に参加してしっかりした登山技術を会得したい人には向いていると思います。
登山サークル選びのポイント
登山サークルを選ぶ際は、会員数や活動内容、男女別、年齢層など多くのことを考慮しなくてはいけません。実際にサークルに入ってみないと雰囲気はわからないのですが、ホームページや問合せで事前に確認できる事項も多いので、しっかり読み込んで気になる点は質問するとよいと思います。
活動内容が自分のレベルに合っているか
自分がまだ初心者レベルなのに、活動内容が中級レベル以上の山ばかりだと参加するにも無理があり、登山のペースについていけずストレスに感じてしまいます。自分のレベルとサークルレベルを照らし合わせることが重要です。山岳会の場合は最初に問合せて確認しておくと安心です。
活動スタイルが自分の目的に合っているか
登山といっても各サークルの活動内容は様々です。例えば以下のような例がありますので、初心者でも自分が先々にやりたいことがあれば、想定して探しておくと良いと思います。
- 冬も雪山に登るなど、オールシーズンで活動をしている
- 遠方までの長期遠征も頻繁に行っている
- 沢登りや岩登りも活動内容に含まれている
- 毎週のように山行がある、あるいは数ヶ月に一度くらいの活動ペース
活動エリアはどこか
せっかく入会しても、主な活動エリアが遠いと参加しづらくなってしまいます。現地集合の登山なら関係ないと思うかもしれませんが、例えば関東在住なのに関西エリアのサークルに入ってしまうと、気軽に行ける山の範囲が異なりますし、仲良くなって登山以外で仕事帰りに集まるなどもできません。続けるにあたって、参加しやすさは重要です。
活発に活動しているか
リーダーや管理人がしっかりしているところは、登山活動記録をまめに更新しています。ホームページやブログ、SNSの充実度は、加入判断のバロメーターになると思います。中には明確なリーダーや責任者が不在のあいまいサークルや、力量が低いメンバーばかりのサークルもあるので、注意が必要です。募集ページの情報量が少ないところは避け、詳しく書いてある中から選んでいくのが良いです。
自分の求めているスタイルが何なのか、どれくらいのペースで登山がしたいのか、技術を習得したいのか、あるいは仲間作りがメインなのか、などをよく検討して優先順位を決めて絞りこむと、間違いがないと思います。
登山サークル入会から参加までの流れ
登山サークルを調べ始めてから、実際に登山に参加するまでの基本的な流れです。
1 インターネット上での募集サイトから、自分が入会を考えている登山サークルの活動内容や規則、メンバーの人数や年齢構成、入会条件などを確認する。
2 管理人にE-mailや掲示板などを通じて、サークルに入会したい旨を伝える。
3 管理人から折り返し連絡があり、入会を承諾されたらOK。連絡ツールのネット掲示板やLine等で、サークル内の他メンバーに簡単に自己紹介と挨拶を合わせて行うこともある。
4 主に管理人からサークルメンバーに対して、連絡ツールを通じて定期的に登山計画の提案がある。自分の予定や希望が合えば、参加の意思を伝える。
5 希望参加者内で、集合場所や集合時間、交通手段など細かい登山予定のすり合わせを行う。
6 登山当日、集合場所でメンバーと顔合わせ後、改めて自己紹介を行い出発。
登山に参加する時の注意点
登山サークルに無事入会して、いざ活動に参加するとなった時に気を付けておきたいことがいくつかあります。
自分の力量以上に背伸びしない
事前の計画段階で、明らかに自分の力量を上回る登山への安易な参加はおすすめできません。ペースについていけず途中でバテしまう、疲労や経験不足による怪我や体調不良など、他のメンバーを巻き込み、計画通りの下山ができない危険性があります。特に面識の浅い人達と登る場合は、チャレンジはしない方が賢明です。ちょっと難しめの山に登ってみたい場合は、ガイドさんと一緒に登るツアー登山などを利用するのが良いと思います。
リーダーはガイドではない
全てリーダーにお任せ登山ではなく、登る山について基本的なコースタイムや水場など、ソロ登山のつもりで自分で調べておくことが大事です。リーダーといってもガイドではないので、これまでどんな経験をしてきたのか、実力や判断力が備わっているのかどうか本当のところはわかりません。グループ行動といえども、「登山では全て自己責任が伴う」ということを肝に銘じておく必要があります。
協調性と社交性が重要
人数が多いサークルの場合は、当日初対面ということが多くなります。人見知りでもシャイな方でも、参加するからには協調性と社交性が必要です。他の参加者に気を遣わせてしまわないよう、自分から積極的に話すことで周囲にも認めてもらえて、次も参加しやすくなります。
登山サークル・山岳会の見つけ方
ホームページがない場合も多いですが、やはり情報が少ないところよりも事前に情報を得られるところの方が安心です。入会を決める前に、最初は体験参加などをお願いしてみてもよいと思います。その対応によって雰囲気を確かめることもできますし、今は新規会員を募集していない、という場合もありますので、気になるところをいくつか絞ったら同時に問合せをしてみるのがおすすめです。
登山サークルを見つける
「登山サークル」で検索して気になるアカウントのプロフィールを見れば、サークル会員募集の連絡先やホームページのURLが載っています。写真があるのでサークルの雰囲気はわかりやすいと思います。
同じく「登山サークル」で検索したり、「登山」でグループ検索をするとFacebookページがたくさん出てきます。こちらも写真があるのでイメージしやすく、連絡も取りやすいと思います。
コミュニティページがあり、全国の登山サークルや個人の山仲間募集情報が載っています。自由に書き込める掲示板なので、利用する際にはしっかり内容を読んで、信用できる相手かどうかの判断が必要です。
この他にも「登山サークル」でweb検索すればいくつかコミュニティサイトがありますが、いずれにしても情報や写真が載っているものから厳選して、相手を確認してから参加するようにしてください。
山岳会を見つける
日本各地に支部があります。日本山岳会の会員になって支部の山行に参加したり、会員同士で主催する同好会に参加できます。
都道府県ごとに山岳連盟があり、それぞれの山岳連盟のホームページに地域ごとの加盟団体一覧のページがあります。
登山雑誌の山と渓谷社が運営しているサイト。広告なので掲載数は少なめですが、掲載しているということは積極的に募集中ということになります。ヤマケイオンラインには登山講習会の情報も掲載されているので、サークルなどに所属せず知識や情報を得たい場合は ヤマケイオンライン 登山講習会・説明会 も良いかもしれません。
まとめ
従来の山岳会に属するスタイル以外にも、最近はSNSを利用して登山仲間を増やしていく、登山サークルのスタイルが広がりました。単独ではしんどい山行も、登山サークルを利用して仲間と共に助け合いながら、自分のモチベーションや登山経験値を積み上げていくのも、登山の楽しみ方のひとつだと思います。