登山を始めたけれど、すぐバテてしまう、辛いばかりで楽しくないと感じる人は少なくありません。自分には無理と思う前に、簡単なトレーニングを始めてみませんか。少しずつ体を鍛えていくために、ここでは、小さな距離を積み重ねる、ランニングの始め方をご紹介します。
登山のためのトレーニングとは
登山でバテない身体づくりに有効なのは、ズバリ「有酸素運動」です。よくいわれることではありますが、ではなぜ有酸素運動がいいのでしょうか?まずその理由を知っておきましょう。
バテるのはどんな状態か
体が重い、これ以上動けないという時、体はどういう状態なのでしょうか?それは「体を動かすためのエネルギーのない状態」です。体の中では、常に栄養がエネルギーに変わり続けています。その働きがうまく進まなくなると体が動かなくなります。
バテないために必要な力
バテないためには、エネルギーが生み出され続ける環境が必要です。栄養がエネルギーに変わるときに必要なのが酸素。肺に取り込まれた酸素は血液で全身に送られ、筋肉の中でエネルギーを生み出す働きをします。この「酸素を効率的に働かせる力」が、バテを予防する「持久力」です。
持久力を高めるには
では、酸素にいかにして活躍してもらうか。それは「酸素を運ぶ器官の発達」によります。有酸素運動は酸素を取り込みながら行う運動。酸素を全身に送るために、肺と心臓が忙しく働き、ふだんより多くの血液が血管を流れます。その繰り返しにより、肺・心臓・血管が強化され、毛細血管が新しく作られて、体のすみずみまで効率的に酸素が行きわたります。
道路は整備されてしっかりした道路だと、多くの車が走っても安心でスムーズですよね。そして周囲の道が多いほど、それぞれの車が目的地に行きやすくなります。有酸素運動をすることにより、酸素を運ぶ器官が発達し、エネルギーを生み出しやすい体になっていくわけです。
持久力アップには王道のランニング
有酸素運動は、水泳、自転車などありますが、何より始めやすいのがランニングです。まずは続けて20分走れるようになれば、山で効果を実感できます。
ランニングの前にウォーキングでもOK
ふだん運動をしてない人は、いきなりランニングだとハードルが高いので、ウォーキングから始めましょう。週1回からでも構いません。運動 不足だと30分歩くのもしんどいことがあるものです。そのような状態でいきなり走っても苦しくて続けられませんので、まずは外に出る習慣をつけることが重要。30分元気に歩けるようになれば、いよいよランニングです。
フォームも意識して筋力アップ
走るときは背筋を伸ばして走ると、足への負担が少なく楽に走れます。速く走る必要はありませんし、しんどいときは歩いてもかまいません。まずは20分続けて走ることを目標に、少しずつ時間を伸ばしていきましょう。週1回から、週2回、3回と回数も増やしていくのが理想です。
軽めの負荷でも続けることが大事
20分続けて走れるようになると、確実に力がついています。後はそれを継続すること。自分のペースで20分を週1回。これを最低ラインとしてキープしましょう。天気が悪くても、仕事が忙しくても、これなら続けられるのではないでしょうか。余裕が出てきたら次は30分、40分と長く走ることを目標に。20分走れる力があれば、そう遠くない日に達成できます。
持久力を高めるLSDトレーニング
ひとつのトレーニング法として、長い時間ゆっくり走るLSD(Long Slow Distance)という方法があります。ふだんのランニングよりさらに遅めで、1時間、2時間と走り続けます。足に大きな負担をかけずに持久力を伸ばすことができます。
インターバルトレーニング
ランニングに慣れてきて、トレーニングに変化が欲しいなと思い始めたら、インターバルトレーニングがおすすめです。ふつうのウォーキングと早歩きを交互に繰り返すような練習を、インターバルトレーニングといいます。3分ごとの切り替えで、30分続けることを目標にしてみてください。血液量が激しく変化して、持久力が効率よく伸びます。ジョギングとダッシュの繰り返しというハードなレベルもありますが、負担が大きすぎるのでウォーキングと早歩きでも十分です。
モチベーションを保ち続けるために
トレーニングで陥りやすいのが三日坊主。最初にはりきりすぎて続かないパターンはよくあることです。まずは週1回20分のランニング継続を目指して、こちらを参考にしてみてください。
誰かと一緒に走る
自分ひとりだけだと、なんとなくやる気のない日はやらなくなってしまいます。家族や近所の友人を誘ってみましょう。 持久力はおしゃべりしながら走るペースでも十分に鍛えられます。
複数のコースを作る
いくつかのコースを作ると、その日の気分によってコースを選べます。いい景色をお目当てにしたり、体調のいい日は坂道の多いコースに挑戦したり。ふだんの生活では通らない道を走ると、知らないお店を見つけたりできる楽しみもあります。
記録をつける
毎日何分取り組んだか、何キロ走ったかなど、わかりやすい数字で記録を残してみましょう。週1回の記録でも重なっていくと続けたくなります。また、ブログやSNSに投稿するのもコメントなどがもらえて刺激になります。
同じ山へ行ってみる
同じ山に繰り返し行くことで、トレーニングの成果を実感できます。以前はへとへとになっていた山道が楽に感じられてくるのはうれしいもの。登山もトレーニングもどんどん楽しくなっていきますよ。