登山靴の選び方:初心者がお店に行く前に知っておきたいポイント

登山アイテム

山へ行くと、全く同じ靴の人はなかなか見当たらないくらい、みんな様々な登山靴を履いています。しっかりした登山靴は安定感と安心感を与えてくれ、疲れた時も心身ともに支えてくれる相棒です。初めての登山靴を購入する前に、知っておきたいポイントを紹介します。

登山靴とスニーカーの違い

スニーカーで登山はダメなの?と疑問に思う人も多いと思います。登山靴とスニーカーのような運動靴との大きな違いは大きく三つ。「滑りにくい」「濡れにくい」「疲れにくい」です。

滑りにくい

ぜひ一度、靴をひっくり返して、それぞれの靴底を見比べてみてください。登山靴の靴底はしっかりした凹凸があり、登山用の特殊なゴム素材で形成されているので「滑りにくい」です。スニーカーの場合は、平らな面に細い溝が入っているものや、凸凹があっても小さいのでひっかかりが少なく、その違いは一目瞭然です。

濡れにくい

しっかりした靴底に加えて、登山靴は本体も防水機能のある丈夫な素材が使われていたり、濡れることが前提となっているため、靴の中まで「濡れにくい」です。多少の雨やぬかるみは問題なく歩けます。もちろん長時間の雨や、川などにしっかり浸かった場合は濡れますので、できるだけ「無駄に濡らさない」ように気をつけることも重要です。

疲れにくい

登山靴の靴底は層が分かれていて、クッション機能を果たす層も存在しています。靴本体の内部やインソールも足全体を包み込む仕様で、かつ地面からの衝撃を吸収してくれるから「疲れにくい」。スニーカーは本体も靴底も柔らかく薄いため足に伝わる衝撃が大きく、それに対応するために筋力を使い、蓄積されて疲れにつながります。

逆に言えば、しっかり整備された登山道や舗装路で、晴れの日で、路面も乾いていて、距離が短く、脚力にも自信がある、という条件ならスニーカーでも登山できると言えます。

しかし登れる山やコース、登れる日がかなり限定されてしまいますので、これから登山を続ける予定なら、雨や不整地などの厳しい条件にも耐えられる登山靴を1足持っておくのが安心です。

登山靴の種類

実は明確な区分けがない登山靴。一般的にお店などで使われている、できるだけシンプルな例で紹介すると大きく三つ。「ハイキングシューズ」「トレッキングシューズ」「アルパインブーツ」です。お店によっては「日帰り向け」「山小屋泊向け」「長期縦走向け」といった分類のところもありますが、大きくは同じです。

軽快なハイキングシューズ(ハイキングブーツ)

主に低山ハイク、アウトドア、旅行など平地をメインで歩くのに適した登山靴がハイキングシューズです。軽くてソールが柔らかめなので歩きやすく、スニーカーよりもクッション性があるので疲れにくい。スニーカーではちょっと心もとない、といった場面にぴったりです。

幅広く使えるトレッキングシューズ(トレッキングブーツ)

雪のない時期向けの最も一般的な登山靴がトレッキングシューズ。ハイキングシューズよりソールは硬く、靴自体も多少重くなりますが、日帰りから縦走登山まで3シーズンを通して使える場面は広いです。ゆくゆくは宿泊登山も視野に入れているなら、初めての登山靴にはこれを選ぶとよいと思います。

アルパインブーツは経験を積んでから

テント泊など重い荷物を背負っての縦走や、不安定な岩場やガレ場を歩く登山向けの、頑丈な登山靴がアルパインブーツ。冬山にも使える4シーズン対応のものから、完全に厳冬期の雪山向けで防寒性の高いものなど、さらに目的に合わせて分かれます。

登山靴の形による分類

さらに別の分け方として、足首部分のカットによる分類もあります。こちらも三種類で「ローカット」「ミドルカット」「ハイカット」です。

スニーカー感覚のローカット

スニーカーと同じように足首が覆われておらず、歩きやすさに重点を置いたのがローカット。林道、整備が行き届いた自然歩道や木道など、主に負荷が軽いコースに適していますが、山に慣れている方でスピードや機動性を重視する場合にこのタイプを選ぶ人もいます。

足さばきが楽なミドルカット

足首をある程度は保護しながら、同時に歩きやすさも追求したのがミドルカット。ローカットでは不安だけどハイカットだと歩きにくい、といった初心者にとっていいとこどりのタイプ。ミドルカットでも硬めの丈夫な靴を選べば、重装備の登山にも対応可能です。

安心感のあるハイカット

くるぶしまでしっかり保護されており、足場が不安定な場所でもそれが支えとなってくれるハイカットは、ローカットよりもグラつかずに歩くことができます。最初は歩きにくい、靴が重いと感じるかもしれませんが、慣れれば安定感があるので逆に歩きやすく感じます。

お店やメーカーによる違い

登山靴を選ぶ際は、実際にお店で履き比べてみるのが良いですが、どこでも同じものがあるわけではないということを覚えておくと、効率よく回れます。さらにいくつかのお店で同じ質問をすれば、違う視点に気づけたり、大事なポイントもわかりますので、できれば忙しい時間帯を避けてゆっくり接客してもらえるタイミングを狙って行きましょう。

お店によって取り扱いメーカーは違う

どのお店も全メーカーの商品を扱っているわけではないので、ラインナップが違います。もし、お目当ての商品がお店になかった場合は「在庫がない」のか「取り扱いがない」のかを確認してみてください。「在庫がない」場合は同じ系列の他店舗にあるかもしれませんが、「取り扱いがない」場合は同じ系列の他店舗に行ってもないので、別の系列のお店で探すことになります。

同じサイズでもメーカーによって形は違う

店員さんから紹介される有名メーカーの登山靴を試しても、自分の足に合わないことはあります。特に海外メーカーは基本設計が細身のため、同じ靴のサイズでも幅広や甲高の足の方には合わないこともあります。メーカーやデザインにこだわらず、またおすすめを断るのにも気を遣わず、いくつか履き比べてみてください。

登山靴の試着の流れ

1 足の測定

実際に足をスケールで測定してもらいます。測定せずにすぐに試着というお店もありますので、そこまで重視しなくても大丈夫です。数字で足の特徴がわかると、店員さんがそれをもとに適した靴を提案しやすくはなります。ただ、測定したからといってぴったりの靴が見つかるわけではなく、結局は試着した自分の感覚で決めることになります。

2 登山用の靴下を履いて試着

靴下の厚みでフィット感やサイズが変わるため、必ず登山用の靴下を履いて試着します。持参するのがベストですが、なければ基本的には登山靴を販売しているお店には用意されているはずですので、店員さんにお願いしてみてください。

3 足の位置を合わせる

足を入れて、靴をかかとにトントンと合わせて、つま先部分に指が軽く動かせるくらいのスペースがあるのが理想的な状態です。確認の仕方としては逆に、靴の先端につま先をつけた状態で、かかと部分に指1本が入る余裕があるかどうか、という方法もあります。どちらでも構いません。

4 靴ひもを締める

ここまでで特にキツイ、痛いところがなければ、靴ひもを足の甲から足首までフィットするように調整しながら締めてみます。店員さんが締めてくれる場合と、自分で締めることもありますので、きつく締め過ぎないように注意しましょう。

5 店内を歩いて確認

店内を歩いて履き心地を確認します。登山靴売り場にはスロープや段差が設置されているところがあるので、できればそういったお店で購入するのがおすすめ。特に「上りや下りで足が前後にずれないか」は、平坦なフロアを歩くだけではわからないポイントです。

購入後は実際に山で歩いて慣らす

いくら試着して購入しても、山で歩いてみると気になる部分が出てくることもあります。新品で硬いからだったり、歩き方が原因だったり、左右の足で不調の度合いが違ったりもします。そのため、最初は短時間の軽めの登山で確認しながら、慣らしていくことが大事です。

さらに最初は問題がなかった場合でも、長時間の登山や、傾斜が急なルート、荷物の重さなどで痛みや違和感が起きることがあります。外で使ってしまうと、残念ながらもう返品はできません。ただ、痛みの場所や原因によっては自分で調整して使い続けることができることも多いので、すぐ諦めずに色々な方法を試してみてください。

  • 部分的なインソールを入れる
  • インソールそのものを変える
  • 靴下を変える
  • テーピングやサポーターを巻く

違和感の起こりやすい部分や状況を把握して、予防措置をしたり、次の登山靴を購入する時の参考にしましょう。

初めての1足はミドルカットのトレッキングシューズ!

初めての1足には、軽量で履きやすく、リーズナブルでコストパフォーマンスに優れた商品も多い、ミドルカットのトレッキングシューズが最適。日帰りから宿泊登山まで幅広く使えます。

最初から背伸びして高価なものを購入するよりも、まずは気軽に履ける1足を手に入れて靴にも登山にも慣れてから、次のとっておきの一足を購入するくらいの心持ちで長く続けてください。

キャラバン トレッキングシューズ C1_02S

登山初心者向けの代表的なシューズ。改良を加えつつ長年継続されている定番モデルで、日本人の足向けのゆったりとした内部構造。履き口も柔らかく、動きやすいように足首の後ろ側は深くカットされています。比較的誰にでも合いやすいタイプのため、お店で最初に履いてみるならまずコレ!です。