何リットルあればいいの?登山用ザック(リュック)の容量の選び方

登山アイテム
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はじめて登山用ザック(リュック)を選ぶ場合、迷うポイントのひとつが「どれくらいのサイズを選べばいいのか」です。日帰り登山なのか、テントを背負っての登山なのか、どのような登山をするのかによって必要なサイズは異なってきます。どんな荷物ならどれくらいのサイズが必要なのか、ここでは中に入れる荷物を元に説明します。

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一般的な容量の目安と必須アイテム

最低限必要な容量は下記を目安としましょう。必須アイテム以外にも人によって必要だと思うもの、あれば便利なもの、荷物の多い少ないは差がありますので、一度しっかり自分の荷物について考えてみてください。

  • 低山・日帰りハイク 20~30リットル程度
  • 山小屋泊(自炊なし) 30~40リットル程度
  • 山小屋泊(自炊あり) 35~45リットル程度
  • テント泊(グループ)50~60リットル程度
  • テント泊(単独)60~70リットル程度

低山・日帰りハイクの場合(20~30リットル程度)

出典:写真AC
  • レインウェア
  • 食べもの(昼食、行動食)
  • 飲みもの
  • タオル
  • 地図
  • 万が一のヘッドランプと医薬品

これらに加えて、寒い時期には休憩の時に着る防寒着や小物が増えます。しっかりしたカメラを持って行く場合や、下山後に温泉などにも行きたいと思っているなら、その分の荷物も増えますので、日帰り向けの中でも大きめがおすすめです。

山小屋泊で自炊をしない場合(30~40リットル程度)

上記に加えて

  • 小屋で着る防寒着(フリースやダウン)
  • 予備の着替え(靴下や肌着程度)
  • 二日目の行動食

山小屋は街よりも標高が高い場所にあり、その分だけ寒いので、防寒着は必須です。また、日帰りの場合は濡れても帰るだけですが、泊まりだと翌日もその服で行動することになるため、シャツもパンツも速乾性がある素材を着て行った上で、靴下や一番下に着るシャツの替えがあると安心です。

但し軽量化を優先して、お天気によっては着替えは持って行かない人もいます。そうすると日帰りと小屋泊まりではあまり荷物に違いがないようですが、行動する日数が増える分の食料は増えるので、やはり日帰り登山よりひとまわり大きなザックが必要となります。

山小屋泊で自炊をする場合(35~45リットル程度)

出典:写真AC

上記に加えて

  • コッヘル(鍋)
  • バーナー
  • ガスなど燃料
  • お皿・コップ
  • 箸・スプーン
  • 食材

山小屋泊でも素泊まりで自炊をする場合は、調理道具が必要となり、荷物がぐっと増えます。必要な道具や食材の量はメニュー次第。お湯を沸かすだけで済む簡単なものにしても、重量があるレトルト品、軽いけどかさばるカップ麺など、選び方で荷物には差が出ます。

また、水が有料の場合もあるので、下から持っていくのか、小屋で買うのか、どの程度の量が必要で何に入れて運ぶのかなど、事前に確認して計画が必要です。荷物の量だけでなく重量も増えるため、体力が不足しているといつもよりバテてしまう可能性があります。

テント泊の場合(グループは50~60リットル/単独は60~70リットル程度)

出典:写真AC

上記に加えて

  • テント(本体・ポール・フライシート・グラウンドシート・テントマット・ペグ)
  • 寝袋
  • 寝袋用マット

これら三点は重量もかさも増すため、個々のサイズや重量を考えて購入しておくことが大事です。テントとひとことで言ってもパーツが分かれており、グループなら手分けして持つことができるので負担はかなり違います。

単独の場合は少しでも軽量化するためにグラウンドシートやテントマットを省略したり、テント場が穏やかな森の中で強風にあおられる心配がないならペグは持って行かない、などの判断をする人もいます。

日数と人数が増えると、食料・燃料がその分増えます。水の補給場所が少ない場合は、後で使う分も持ち運ばないといけないため、そのスペースも確保しなくてはなりません。

70リットル以上は別次元! 相当の経験を積んでから

出典:写真AC

ちなみに70リットル以上となると、冬山でのテント泊や、長期の縦走向けとなります。冬山では寝袋も大きくなり、燃料も調理だけでなく雪を溶かして水を作ったり暖をとるための分が必要となり、防寒着や小物も増え、さらにアイゼンやピッケルなど重量のある冬山装備を身につけて歩くことになります。

荷物の問題だけでなく登山技術・体力・経験全てが必要となりますので、簡単には計画しないようにしましょう。

大きな分だけ負担になる!自分の体力と相談を

登山初心者は何かと心配なので、最初から大きなザックを選びがちです。しかし、荷物が多いとそれだけ体力を消耗するということに気づいていますか?あれもこれもとザックいっぱいに荷物を詰めて、結局使わないものばかりだった、荷物が重くてバテてしまって辛かった、ということもよくあります。将来的にテント泊や縦走をしたいという場合も、重くて大きなザックを背負って数日間歩ける体力をつけるのが先です。

また、大は小を兼ねるとして大きなザックを先に買ったものの、いつもの登山には大きすぎて使いづらく結局あまり使っていない、というパターンもあります。まずは手持ちのザックで工夫してみて、どうしても必要になった時に必要な容量のザックを改めて購入するのが正解です。

5リットル程度の違いで迷ったら

30リットルか35リットル、40リットルか45リットルなど、5リットル程度の違いで悩むことは、ザック選びでよくある場面です。その時にどちらを選ぶのか?それはタイプによっておすすめが異なります。

日常的に断捨離ができる人は小さめを

必要なものだけに絞ったり、あったら便利だけどなくてもいい、という人は、小さめを選んでおくのがおすすめです。経験を積めばさらに荷物の取捨選択ができるようになり、コンパクトにまとめられるようになります。荷物の軽量化ができるのは登山を続けていく上でも大きなメリットです。

日常的に荷物が多い人は大きめを

旅行の荷造りが苦手だったり、通勤や外出でも荷物が多めな人は、迷ったら大きめを選んでおいた方が安心です。ザックが小すぎた、大きめを選んでおけば良かった、などの後悔やストレスを最初からなくしておくことも大事です。但し、持って行っても使わなかったものは次回は置いていくなど、不要な荷物は減らす工夫をしましょう。

雨蓋式なら多少は容量を調整できる

ザックの荷物の出し入れをする部分は、上からかぶせる雨蓋式と、ファスナーだけですぐに出し入れできる代わりに雨蓋がないものも存在します。雨蓋式だとポケットがあり小物を分けて入れられるほか、ベルトで上下のサイズ調整ができるものが多いため、本体の荷物がパンパンになったとしてもベルトを伸ばして多少は調節することができ、もとの容量以上に荷物を持つことができるのでおすすめです。

登山は荷物と共にあるアクティビティです。ザックの容量ありきではなく、初心者のうちから荷物ひとつひとつの要・不要にこだわり、自分なりの取捨選択をしながら経験を積んでいきましょう。