超心配性な私が安心して登山するための救急セットとマイルール

救急セット 登山ノウハウ
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登山を始めたばかりの頃は、絆創膏程度しか持っていませんでした。でも登山を続けていると、自分や身近な仲間が思わぬ事故や怪我に遭遇することが出てきます。備えあれば憂いなし。体力なしの方向音痴、超がつくほどの心配性の私が登山に持って行く救急セットと、いつも心がけているマイルールをご紹介します。

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救急セット(ファーストエイドキット)の存在を知った日

救急セット イノシシ
野生の動物には決して近づかない。子供の側には必ず母親がいます

登山を始めてからまもなく、救急セットの存在を知るきっかけになったアクシデントが起こりました。なんと登山中に仲間がイノシシに襲われたのです。ウリ坊(イノシシの子供)が可愛くて近づいてしまい、突然ウリ坊の母親が草むらから現れてお尻をガブッ!と噛まれ、流血騒ぎとなりました。

その時、仲間のひとりが赤い小さなバッグと水をザックから取り出し、応急処置を施したのですが、その赤いバッグが救急セット(ファーストエイドキット)でした。絆創膏だけでなく、山で見舞われるアクシデントに対応するための色々なアイテムがあるのかと、初めてその存在を知りました。

また、怪我に対応するアイテムだけでなく、緊急事態用のアイテムも必要だと感じたのは、晩秋の時期に道を誤り違う沢を下ってしまった時です。早めに引き返し、正しい道が分かり大丈夫でしたが、ここで一晩過ごせるか?とリアルに考えさせられました。

そういった経験もふまえて、何が起こるか不安で仕方がない心配性な私でも登山ができるように、人任せではなく自分自身を守るために、救急セットの準備を始めることにしたのです。

こんな場面で助かった!必要なアイテム

救急セットの中身だけを見ても、それぞれがどんな場面で助けになるのかがいまひとつピンとこないと思いますので、登山中に実際に起こった事例を紹介しながら、対応する時のポイントと使うアイテムを説明します。

よくある場面1)靴擦れ・擦り傷・切り傷

登山道の丸太をまたごうとしたときに足を引っ掛け転倒し膝を負傷したり、また、藪の中を歩いているときに枝が腕に刺さったり、切り傷ができていることも。 水で汚れや血を流した後、止血をしてから絆創膏や、傷を覆うガーゼを当てます。他によくあるのは靴擦れで、少しでも当たって痛いなと思ったら我慢して歩かずに、面倒でも早めに靴を脱いで絆創膏を貼るのが正解です。

対応のポイント:傷の手当で大事なのは、最初に水で傷に付着している汚れ(細菌)をよく流すこと。また、自分ではなく誰かの手当をする際には、感染症を予防するために手袋をすることが非常に大事です。傷自体は小さくても深い場合や、後々に炎症を起こす場合もあるので、自宅に戻って経過が良くない場合は病院で受診した方が良いです。

救急セット
傷用アイテム

<役立つアイテム>

  • 水(シャワーヘッドのように穴を開けたペットボトルの蓋を別で用意しておくと、洗いやすい)
  • 絆創膏
  • 創傷被覆材(傷を乾かさずに治癒する、湿潤タイプの絆創膏)
  • ガーゼ
  • 固定用テープ
  • 生理用ナプキン(大量出血の場合の止血に役立つ)
  • 使い捨て手袋 ※写真なし

場面2)虫刺され

四国の石鎚山でブヨに何十か所も刺されたことがあります。軟膏を塗り、下山後に病院で受診しました。仲間のうち私だけたくさん刺されたので病院で尋ねたところ、普段から平熱が高く、汗をあまりかかないため、吐く息に二酸化炭素が多くなりとても刺されやすい体質だと分かりました。

また、滋賀の低山で仲間がヒルに噛まれたこともありました。ヒルの場合は無理にはがすと血が止まらない場合があるので、虫除けスプレーをかけます。塩も効果があります。

対応のポイント:虫刺されは、蜂、アブ、ブヨ、ダニ、ヒル、毛虫、蜘蛛など。そして虫以外にも、蛇などの爬虫類に噛まれる可能性もあります。まずは何に刺されたか、噛まれたかを知り、水で流して冷やします。他人の手当をする際には手袋は必須です。

後から強い炎症が起きたり、時には全身的なアレルギー反応が起きたりすることもあるため、しっかり経過観察をして注意が必要。 対策としては、肌を露出しない服装にすること、虫除けスプレーをしっかりすることです。

救急セット
虫刺され用アイテム

<役立つアイテム>

  • 虫除けスプレー
  • 虫刺され用軟膏
  • ポイズンリムーバー(虫刺されの毒を吸い出す)
  • 冷却シート ※写真なし
  • 使い捨て手袋 ※写真なし

場面3)捻挫・骨折

テント場で、登山靴からサンダルに履きかえて歩いていたところ、足場が悪く捻挫するという失態をおかしました。また、冬場の下山中に、仲間が足をくじいて骨折したこともあります。下山口まで近かったので、ヒップそりを使ったり、両手で支えながらなんとか下山できました。

対応のポイント:捻挫も骨折も患部を冷やしまずは固定することが大切です。自力で歩けない場合は救助要請が必要になってきてしまいます。骨折かどうかの判断は難しいと思いますが、いざという時はストックや木の枝を使って固定する手段をとります。

初心者でもすぐできる対策としては、足首まであるミドルカットまたはハイカットの登山靴で、少しでも足元を安定させること。あとは足場の悪い場所では雑に歩かずに、丁寧に足を置くことです。

救急セット
捻挫・骨折用アイテム

<役立つアイテム>

  • テーピング用テープ
  • 固定に補助として使える包帯やロープ
  • 三角巾 ※写真なし

場面4)体調不良

初めてのアルプスでは、高山病になってしまい辛い思いをしました。頭痛と胸やけがしたのですが、幸いにもまだ軽症だったので鎮痛剤を飲んでしばらく休んだところ、多少は順応もできたのか無事に治まりました。

また、真夏の登山中に、足や身体に力が入らなくなるなど、仲間に熱射病と思われる症状が出ました。木陰で休み水分を摂り、身体を冷やしたところ、無事に回復しました。

対応ポイント:登山の前日はしっかり睡眠をとり、まずは万全の体調を整えること。登山中に少しでも体調がおかしいと思ったらすぐに休み、早めに引き返す勇気も必要です。また、薬を持参する場合は、飲んだことがあるものだけにします。

救急セット
体調不良向けアイテム

<役立つアイテム>

  • 鎮痛剤
  • 胃薬
  • 風邪薬
  • 持病がある方は持病薬

場面5)道迷い、滑落などの山岳遭難

絶対に避けたいのが遭難。低山の雪山で足を滑らせ、崖の斜面を滑り落ちた経験があります。段々体温が下がっていき自力で上がる体力がなくなってきて、とても怖い思いをしました。リーダーがピッケルを刺して、それにつかまりロープで上げてもらい、事なきをえました。

また、仲間が夏の沢登りで道に迷い、日が暮れはじめて下山を断念したことがありました。防寒着を着こみ、調理用ガスで暖をとりながら一夜を過ごし、翌朝無事に下山できました。

対応ポイント: 単独登山で怪我をして動けなくなった場合を想定すると恐ろしい状況です。行先と帰宅予定を家族には必ず知らせて、もし何かあった場合の連絡先を事前に確認しておく。私はとても心配性なので、低山でも日帰りでもどんな山であっても一晩過ごせるだけの食料と水、防寒着、ツェルトを持って行きます。

救急セット
遭難・緊急事態用アイテム

<役立つアイテム>

  • ホイッスル(助けを呼ぶ時に声は届きにくいのでホイッスルがあると良い)
  • ツェルト(緊急時に使用する簡易なテントのようなもの)
  • ロープ、カラビナ(セルフレスキューの技術も必須)

あらゆる場面での万能アイテム

救急セット
万能アイテム

救急専用のものではなく、便利でなおかつ助かる、おすすめの万能アイテムが3つあります。

・消毒用アルコール

水が十分にない時の傷の消毒に使えるほか、食器拭き、トイレのあとにと万能です。ウェットティッシュを持たなくても代用になり、ゴミも出ずとてもおすすめです。

・ワセリン

止血、虫刺され、冬季の手足の冷え予防にも効果があります。

・ガーゼ(長さ1m×幅30cm以上の大判サイズ)

清潔で大きめのガーゼが一枚あると、止血、傷覆い、固定にと幅広く使えます。

はじめから救急用のセットになった商品も販売されているのでそれを買うのもひとつです。私はひとつずつ揃えていきましたが、そのときどきで変更したり加えたりしています。例えば低山で蚊が多い山を登るときは、腰に蚊取り線香を下げることもあります。

救急セット
小さな蚊取り線香をカラビナでぶら下げることも

救急セットを使うための勉強と見直しを

アイテムを揃えても、いざ現場で使い方がわからなかったら意味がありません。セットを揃えて安心せず、例えば自宅で以下のような勉強をしています。また、ときどき中身を確認して、使ったものの補充や見直しも必要です。

・応急処置方法

傷を止血する、テーピングで固定するなど、よくありそうな場面での処置方法を身に付けることがスタート。講習にも行きたいところですが、自宅で勉強するなら動画を活用。例えば大阪市消防局のサイトでは、普段の日常でも起こる事例がたくさん紹介されていて参考になります。

応急手当|外傷・事故その他
ケガや病気を予防しましょう!少しの注意と心がけ。知って備える予防救急。

こちらのサイトでは、日本赤十字社東京都支部監修のもとで制作された、応急手当の動画集が17本も掲載されています。 解説や映像も見やすく、勉強するにはうってつけです。

・読図

現在地と進行方向を確認できるように、読図技術は身に付けたいものです。ついつい、アプリのGPSなどに頼りがちになるので、歩き慣れた山で紙地図とコンパスを使って練習することをおすすめします。

・セルフレスキュー

ロープを使ったセルフレスキューは危険な岩稜帯など本当に万が一の時のための技術です。登山者全員が身につけるべき技術かというと少し違うかもしれませんが、勉強しておくことは間違いなくプラスです。簡単には覚えられませんので、繰り返し行うことで身体で覚えるようにします。

登山での心がけとマイルール

基本的なことですが、登山する際にいくつか心がけていること、決めていることがあります。

◆家族に知らせておく

いつ、どこの山に登るということを必ず家族に知らせておきます。最近はYAMAP(ヤマップ:スマートフォンのGPSを使って現在地が確認できる登山者向けアプリ)に見守り機能の通知メールが家族に届くのもあるので活用すると安心です。

◆登山届けを出す

登山届けは参加メンバー、連絡先、ルート、装備などを記して警察に届ける書類ですが、山岳遭難が発生した場合に捜索救助の際の大切な情報になります。コンパスというサイトから提出もできます。

◆山ツールの活用

地図とあわせてGPS機能も活用するため、先ほど紹介したYAMAPを使っています。紙地図やコンパス、ヘッドランプ、予備バッテリーも必ず持参しています。

救急セット

◆救急セットはすぐに出せるところに

例えば私自身が怪我をして動けず、仲間に出してもらうことがあると想定して、ザックの分かりやすく出しやすい場所に入れています。

救急セット
救急セット

◆無理をしないための基準を決めておく

・行動計画では十分な所要時間をとり、下山15時と決める。早立ち、早着を心がけたスケジュールを組みます。

・事前の天気予報にて降水確率50%以上なら登山中止と決める。雨天ではリスクも高まり楽しめないので、無理に決行はしません。

まとめ:安心して登山するための材料となる

救急セット

応急処置ができたら、緊急事態にここまでできたらと、登山での心配をひとつでも減らすために、自分なりに準備と勉強をしています。その時々で必要なものを自分で考えて用意し、使い方も把握し、心掛けることやマイルールも決めているおかげで、超心配性の私でも登山を思いっきり楽しんでいます。

どこまで揃えるか、何に備えるかは人それぞれで違うと思いますので、これもひとつの参考に、自分なりの救急セットとマイルールを考えてみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いたひと
あいた ゆん

低山からアルプスのテント泊まで、一年を通して登っています。その時期の花を求めて、山ご飯メイン、などテーマを決めて登ることが好きです。女性ならではの悩みやできごと、また多くの方が、こんなことが知りたかった!ということを、経験を交えて楽しくお伝えできたらと思います。

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山歩みち